一緒にいたいから結婚するんです。2【赤司征十郎】

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赤司side




「……奥様ですか？」




オーナーがそう聞いてくる。


奥様……か。




「いずれは……ね？」

「そうでございましたか。して、今日はどのようなものを？」

「……婚約指輪。結婚指輪はオーダーメイドで頼もうと思っている」

「そうですか。赤司様なら大丈夫ですよ」




そうニコニコと言ってくれるが……。




「さぁ、どうかな」

「……珍しいですね。自信がないのですか？」

「そうだね。彼女のことに関しては、自信なんてものは一つもないよ」

「……とても、大切な方なのですね」

「ああ」




店内を見て回る彼女を見る。


やはり女性。


目を輝かせてショーケースを見ている。




「……前の奥様の時は、指輪をここでは買って下さらなかったですね」

「……こんないい店の指輪を、渡す気になれなかったんだよ」

「では、今回の彼女には、渡す気があるということなのですね？」

「そうだよ。彼女なら、この店のどんなものでも似合うだろう」

「……ベタ惚れですね」

「自分でもそう思うよ」




ここの店は小さい頃から連れられてきた。


父さんについてきて。


オーナーさその時から変わっていない。


だから、この店の良さは知っている。


だからこそ、前の時は渡せなかった。


渡すに値する女性だと思えなかったから。


……だが、今回は……Aさんなら……。




「彼女は……知っておられるのですか？」

「何を？」

「もう一人の赤司様のことです」

「ああ……彼女は知っているよ。どうやら、俺と僕を見分けられるらしい」

「！……私でも時々間違えてしまうというのに」

「彼女は人をよく見ている。……僕の方も気に入っているようだから……これほど素敵な女性はいないと思う」




お世辞などではない。


本当にそう思う。




「……赤司様が幸せそうで、私はとても嬉しいです」

「有難う」

「……婚約指輪でしたね、どのようなものをお持ちいたしましょうか？」

「彼女が気に入ったものを買うよ。だから、ゆっくりと見させてやってくれないか」

「はい」




そう返事をすると、オーナーの彼は従業員に何かを伝えた。


すると、女性の従業員が彼女に話しかける。


驚いてあわてる彼女も可愛い。


オーナーは、さりげなく彼女の気に入ったものを聞いてくれ、とでも言ったのだろう。




「……すまない。いつも有難う」

「いえいえ、こちらこそ。いつもご利用いただき有難うございます」

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