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ガチャリと鍵の開く音がする。
征十郎さんだと思い、玄関まで駆け寄った。
「征十郎さん」
「ただいま。それ、ちゃんと着てくれたんですね」
「あ、はい。可愛い服ですね。私なんかが着たら見劣りしちゃいますね」
「そんな事ないです。すごく、可愛いですよ」
ポポッと顔が赤くなる。
その赤くなった顔を隠しながら、私は征十郎さんに聞いた。
「あの、それで、どこに行くんですか?」
「秘密です。さぁ、行きましょう」
征十郎さんに連れられて、車に乗る。
車に揺られる事1時間くらいは経っただろうか。
目の前にはお城のような建物。
あ、足が竦んでしまう。
緊張でガチガチの私に対して、征十郎さんは優しい笑みを浮かべて私に手を差し出した。
「お手をどうぞ」
「……あ、はい」
ソッと手を重ねると、そのままエスコートしてくれた。
カッコ良いな。
そう思ってポーッと征十郎さんを見つめていた。
「……そんなに見られると、穴が開きそうです」
「え!?あ、すいません!」
「俺に、見惚れてくれてたんですか?」
征十郎さんはすごくストレートだ。
回りくどい事が嫌いなのかな?とそんな事を考えながら、私は照れて下を向く。
「……Aさん、とても綺麗ですよ。ずっと見ていたいくらいです」
「っ……また、そうやってからかうんですね」
「からかってませんよ。本心です」
そんな話をしながら、お城のような建物に足を踏み入れた。
征十郎さんは顔見知りなのか、フレンドリーに話してある一つの個室に通された。
「楽にして座ってください」
「はい」
征十郎さんしかいないと思うと、ふっと気が軽くなった。
店員さんとかがいたら、きっとまだ緊張していただろう。
「さて、何か頼みましょうか。Aさんは嫌いなものはありますか?」
「あ、ないです」
「では、俺が適当に頼んでも良いですか?」
「はい。お任せします」
きっと私じゃ、決められないと思うから。
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ゆう(プロフ) - はじめまして、一から読ませていただきました。とても素敵な作品で、作者さまの書き方もとてもわかりやすく、読みやすかったです。素敵な作品に出会えてよかったです。これからも応援しています、頑張ってください! (2018年7月21日 11時) (レス) id: 30736ae0e5 (このIDを非表示/違反報告)
QOO - とても面白かったです!!俺司くんも僕司くんもどちらもとてもかっこいい征君なので征君愛しています!!これからも頑張ってください!!(征君も 夙夜さんも) (2018年3月13日 17時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
夙夜(プロフ) - さっちさん» 有難うございます!はい、頑張ります!! (2016年4月28日 19時) (レス) id: 2f4f5ed99f (このIDを非表示/違反報告)
さっち(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつもいつも更新楽しみにしてました!この小説のそれからも是非読んでみたいです。新作のほうも頑張ってください! (2016年4月28日 18時) (レス) id: c41fd3725f (このIDを非表示/違反報告)
夙夜(プロフ) - 赤司絢さん» ご愛読有難うございます!はい、慣れないところもあると思いますが、精一杯頑張ります!ツナ君カッコいいですよね!応援しさに応えられるように頑張ります! (2016年4月20日 20時) (レス) id: 2f4f5ed99f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夙夜 | 作成日時:2015年12月21日 22時