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「……終わりました」

「お疲れ様」

「お疲れ様です」




やっと掃除が終わった。


すごく疲れた。




「あ、そう言えば征也君遅いですね」

「ん、ああ、すみません。言うの忘れてましたね」

「え?」

「征也、今日は向こうに泊まるそうです」




じゃあ、今日は帰ってこないんだ。




「あ、そうなんですか」

「……そんな残念そうな顔しないでほしい。俺じゃ、ダメなのか?」

「いえ、そういうわけ……?えっ……赤司、さん?」

「!……やはり気づくのか」

「いつの間に……」




一瞬で僕の赤司さんに変わった。


やっぱり、どこか違うな。




「今回は一人称も僕ではなく俺に変えてみたのだが……敬語も使うべきだったか……」

「いや、そういう問題ではないと思います」

「ん?ああ、目の色か」

「それもありますけど、やっぱり征十郎さんと赤司さんは違いますよ」




そう私が言うと、赤司さんはすこしムッとした表情をする。




「?あの、何か……」

「その赤司さん、やめないか?」

「え」

「俺は征十郎さんで僕が赤司さんでは不公平だろ」

「で、では……なんとお呼びすれば?」

「何でもいいよ、区別できれば」




区別できれば何でもいい……。


な、何て呼ぼうか。




「……なぜそんなに考えるんだ?呼び捨てでもいいだろう?」

「よ、呼び捨て……は少し……」




それは、私がダメだ。




「……あ、あの」

「ん?」

「征さん……で、どうでしょう?」

「征……」

「あ、何かいけませんでしたか?」




少しだけ、悲しそうな顔を見せた。




「……いや、征か。ああ、それでいい」

「はい。では、征さんとお呼びしますね」









ー赤司征十郎sideー


征……か。


(懐かしいのか?)


俺か、そうだな。僕に取っても俺に取っても懐かしい呼び方だな。


(俺達の母が、俺達のことを征さんと呼んでいたからな)


ああ、またこの名前で呼ばれる日が来るとはな。




ボーッとしていたらしく、Aに心配そうな顔で名前を呼ばれた。




「征さん……?」




柄にもなく、少し泣きそうになった。




「何でもないよ」

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ゆう(プロフ) - はじめまして、一から読ませていただきました。とても素敵な作品で、作者さまの書き方もとてもわかりやすく、読みやすかったです。素敵な作品に出会えてよかったです。これからも応援しています、頑張ってください! (2018年7月21日 11時) (レス) id: 30736ae0e5 (このIDを非表示/違反報告)
QOO - とても面白かったです!!俺司くんも僕司くんもどちらもとてもかっこいい征君なので征君愛しています!!これからも頑張ってください!!(征君も 夙夜さんも) (2018年3月13日 17時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
夙夜(プロフ) - さっちさん» 有難うございます!はい、頑張ります!! (2016年4月28日 19時) (レス) id: 2f4f5ed99f (このIDを非表示/違反報告)
さっち(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつもいつも更新楽しみにしてました!この小説のそれからも是非読んでみたいです。新作のほうも頑張ってください! (2016年4月28日 18時) (レス) id: c41fd3725f (このIDを非表示/違反報告)
夙夜(プロフ) - 赤司絢さん» ご愛読有難うございます!はい、慣れないところもあると思いますが、精一杯頑張ります!ツナ君カッコいいですよね!応援しさに応えられるように頑張ります! (2016年4月20日 20時) (レス) id: 2f4f5ed99f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夙夜 | 作成日時:2015年12月21日 22時

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