占いツクール
検索窓
今日:23 hit、昨日:62 hit、合計:96,539 hit

34 ページ35

「おや、驚かせてしまったか」

「だ、誰・・・」



振り向いて、数歩後ずさりながら見えたのは、とても美しい人だった

腰近くまである長い髪は月明かりを受けて白く輝き、僕をじっと見つめる瞳は猫の眼のような金色をしている

薄い唇は弧を描いて、絹のように軽やかな装束は、ゆらりゆらりと風になびいて揺れていた


「誰、とな。それは自身がよく解っているのではないか、少年よ」




僕が作った距離を、一歩、二歩と詰めてくる

星が降り注ぐ中、夜の闇に響く声は思いの外低く、そしてよく耳に馴染んだ







そう、その人の言う通りだった


問いかけを口にすると同時、瞬間的に僕は解っていた


この方が誰なのか、何者であるのか







この国に生きる僕自身の、心の奥底の部分が、目の前の存在に胸を高ならせているのを感じる


「それじゃ、あなたは・・・」

「如何にも」



緊張から激しく脈打つ心臓を押さえ込もうと、僕の手は思わずシャツの胸元を強く握りしめる



「あなたが・・・アポロ様・・・」

「先の唄は、実に心地よいものだった。今一度聴かせてもらいたいほどだ」



アポロはふと何かに気付いたかのようにしゃがみ込み、僕の足元からそれを拾い上げた

その手には、先程背後からの声に驚いて取り落とした、おばさんからもらったお菓子の袋が握られていた



「あ、それは・・・」

「ほう、これは識っているぞ。人間の子らが口にしている物だな。少年の物か?」

「は、はい。そうです」

「ふむ・・・。一つ戴いても構わぬか?」

「え・・・。あ、はい!も、もちろんです」



細く白い指が星形のお菓子を一つ摘み上げ、優雅に口へ運ぶ

現実離れしたその光景を、僕はただ、まじまじと見つめるだけだった



「成る程、こんな風味をしていたのか。なかなかに面白い。・・・して、少年よ。名は何という」

「あ、えっと。翔と、申します」

「翔・・・、良い名だ」



アポロは最後の一個になったお菓子の袋を僕へ返しながら、そう尋ねる


そして僕の名前を口にすると、にこりと微笑み



「さて、翔よ。先の唄を、また聴かせてはくれないか」

35→←33



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (219 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
361人がお気に入り
設定キーワード: , 櫻井翔 ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます! 翔くんについつい辛い役回りをさせてしまいがちで、申し訳ない限りです。 やっとこさ移行が完了しましたので、是非またお立ち寄りいただければと思います(*^^*) (9月22日 18時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、お疲れさまです。お話し楽しく読ませてもらっています。翔くん健気すぎますね。身代わりになったとき智くんの気持ちを思うと辛いです。ハッピーエンドになると嬉しいですが、続きを妄想しながら更新お待ちしています。 (9月19日 14時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - あかりさん» あかりさん、コメントありがとうございます!一応金曜日頃までは更新予定ですので、引き続き足を運んでもらえたら嬉しいです(*^^*) 数日お休み頂いたら、また毎日更新頑張ろうと思いますので、是非楽しみにしていて下さい! (9月16日 21時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 毎回更新されるのを楽しみにしています。移行のためしばらくお休みされるのは残念ですが、待つ時間も楽しみたいと思います。 (9月16日 14時) (レス) id: 43ef596bac (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しゅり | 作成日時:2020年8月30日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。