毒 ページ19
僕の味覚が変なのか。
それとも「中辛」の表示がおかしいのか。
「適度に辛くて美味しいんだけどナ」
僕と同じものを口にして彼は呟いた。
ふむ、前者が正解か。
世間とのずれを認識し残念に思いながら、先程返して貰ったジャケットの内ポケットに手を入れた。
透明な液体が入った小さなガラス瓶が2つ。
一つは半分も液体が入っていない瓶。
もう一つは液体で満ちている瓶。
僕は、液体の少ない方を取り出して、カレーに3滴ほどかけた。
これをかければ大抵のものは美味しくなる。
「何そレ？水……ではないようだけド」
「これ？ヴィルクルスの毒だよ。あ、ヴィルクルスっていうのは僕の飼い蛇でね」
「エ……」
そう。毒。
可愛い可愛いヴィルクルスの毒。
正確に言うと、可愛い可愛いヴィルクルスの毒を薄めて液体化させたもの。
因みに液体がたっぷり入っている方は、ヴィルクルスに咬まれたとき用の解毒液。
じゃれていると、たまに甘噛みして毒を出すから、常備していないと最悪死に至る。
噛み癖には困ったものだ。
「君もかけてみるかい」
「い、いや、遠慮しとク……」
断られてしまった。刺激的でなかなか美味しいんだけどな。
「あ、空いてる席発見〜！」
僕のちょうど左隣の席。
オレンジ髪の元気な子が料理を置いた。
「えっ……」
その子は僕を見て固まった。
またこのパターンか。
「どうした明星？いきなり固まっ……て……」
黒髪のクール系男子も口をつぐんでしまった。
二人でそんなに僕を見つめないでよ、照れちゃうじゃないか。と外面用の笑顔をしながら思った。
「あ、えっ、うわ、えっ」
オレンジ君が壊れてしまった。
まるで未確認生命体に出会ってキャパオーバーしたかのようなパニック具合だ。
しかし、いきなりどうした。僕が人型UMAにでも見えたのだろうか。
いや、こんな悠長にジョークを思い浮かべている場合ではない。僕は医者だろう。
「だ、大丈夫？パニックを起こした時はまず呼吸をするんだ。4秒吸って6秒吐く。……そうそう」
医療の知識を活かして、背中を優しくさすってあげた。
「あ〜……それ多分逆効果だヨ……」
「え？」
「そんなに近づいたらバルくんガ……」
「……きゅぅ」
「ほら、倒れちゃっタ」
助けようとした医者としての義務感が、事に拍車をかけて倒れさせてしまったらしい。
いや、なんでだよ。僕悪くなくない？
「……はっ。ん、明星？何で倒れているんだ」
それ僕も知りたい。
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
