ガーデンテラス ページ18
半ば強引に連れて来られた先は、懐かしい場所だった。曇りなく磨かれたガラスに囲まれた場所。僕はこの場所が好きだった。
昔とあまり変わっていないな。生徒の賑わいも、花々の咲き誇る美しい景観も。
特に夏は僕の好きな薔薇が咲く。淡いピンクのオールドローズ。見ると、薔薇の株には小さな蕾がついていた。もう少しで開花するだろう。
僕は心の中で健気に生きる薔薇にエールを送った。
「ねえ、何食べたイ？何処かの席で待っててネ、ボクが買ってきてあげるかラ！」
なんて優しい子なんだろう。
後で何かお礼をしよう。
彼に「人気なものを」と頼んで、外が一望出来る窓側の席に座った。
陽を気持ち良さそうに浴びる花たちを眺めながら待っていると、
「あ、ジゼルさん」
僕のジャケットを大切に抱えた凜月君が、申し訳なさそうな表情で僕の名前を呼んだ。
「これ、返しそびれちゃって……ごめんなさい」
「わざわざありがとう。それにしても持って行っちゃうなんて、よっぽど気に入ってくれたんだね」
「すごく良い匂いがしたから……気付いたら、まだ持ってた」
んん……はにかみスマイルが素晴らしい。
彼に倣って笑顔を返した。
すると、
「おお、そこにいるのは凜月かえ」
凜月君を少し成長させたような風貌をした子が、にこにこしながら近付いて来た。恐らくお兄さんだろう。
やはり兄弟愛は美しいなと思って見ていた。
しかし、その途端、凜月君は苦虫を噛み潰したような顔をしてぎこちなく振り返った。
「ジゼルさん、また今度……！」
早口にそれだけ言って、お兄さんのいない方へ、生徒の合間を縫うように去ってしまった。
あれ、逃げてる……？
ここの兄弟は不仲なのだろうか。
「逃げないでおくれ凜月や！」
彼もまた、凜月君を追って何処かへ行ってしまった。
小さい頃に数回だけ、こんなふうに、二足歩行のネコが小さな茶色いネズミを追いかけ回すコメディアニメを見た覚えがある。
二匹は、実はとても仲良しなのだ。
「ねェ、白昼堂々ボクのいない間に浮気？」
"運命の人"の子が不機嫌そうに二人分の食事を持ってきてくれた。
僕の前に若干荒くカレーライスを置く。
彼女にしたら迷惑なタイプとみた。
「浮気？違うよ、貸してた物を返して貰っただけ」
「ふ〜ん、まあいっカ。いただきまス」
「ふふ、ごめんね？じゃあ僕も、いただきます」
彼に続いて、カレーを口に運ぶ。
「ん、甘……」
「エ……中辛だけド……？！」
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
