初出勤 ページ5
ど、どうしよう……
付けるべきか、付けるべきでないか……
「ねえ、兄サン！学校行く時間ナンダケド！」
「待って、今、銀目に合わせるか黒目に合わせるか、あえて何も付けないかで悩んでて……！」
カラコンの話である。
左目は母さんの遺伝で銀目なのだが、右目は父さんの遺伝で黒い。オッドアイなのだ。
病院では、手術時にいちいち外すのが面倒だったので、そのままの目で出勤していた。
だが学校では、多感な高校生と関わる仕事だ。
変な波風を立てられたらどうする。
「イヤ、大丈夫ダカラ！」
「そんなノ、誰モ気ニしマセン。私だってオッドアイですガ、非難された事ハ無いデスよ」
「うん！みかちゃんって子もオッドアイなんだけど、とっても綺麗なんだよ〜！」
「そっか。なら付けない事に……ん？じゃあクロウ、その仮面は？」
「ただ……落ち着くノデ」
「へえ、クロウらしいね。似合ってるよ」
そう言って微笑むと、クロウは微かに頬を赤らめた。
「は、早く行きマショウ！」
「あぁ、クロウ待って！鞄忘れてるよ〜！」
照れたのだろう。踵を返して先に家を出て行ってしまった。Aもクロウを追いかけて走り去って行った。
もう、可愛いなあ。
支度を終え、シークと二人で家を出た。
「行ってきます」
庭の薔薇達に声をかけて、門の鍵を閉めた。
「……兄サン、薔薇と会話とかスルんだ」
「薔薇は喋らないから一方通行だけどね。ヴィルクルスに話しかけるのと同じかな。シークだって、ペットには声かけちゃうでしょ」
「ア〜……確かに」
途中で、前を歩いていた二人に追い付いた。きっと、僕達を思ってゆっくり歩いていたのだろう。
四人で歩くのは久しぶりだった。
しかも、学生時代は車通学だったので、朝に歩く事自体が新鮮だ。
暫くして、アイドル科の制服を着た沢山の生徒に混ざり、見るのは3年ぶりになるだろう学院の正門が見えてきた。
朝、学校の前で車を降りた時、よく自転車に乗った勇我と会ったものだ。
そして、どうせ俺は裕福じゃねえよ、とか、車通学の僕に嫌味たらしく吐き捨てられたんだったな。
思い出を懐かしんでいると、何やら興奮した様子の小さな可愛らしい金髪くんに呼び止められた。
「あ、あの……！もしかして、ジジェルさんれすかっ！？」
噛みまくりながら、両手をグーにして、一生懸命僕に尋ねている。
ふむ……可愛い。
「僕はジゼルだけど……君は？」
「お、おりぇ、仁兎にゃずにゃって言います！」
「にゃずにゃ君ね。うん、覚えた」
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
