32.好意 ページ33
夏の暑さに、ジリジリと焼きつけてくる太陽。
夕方なのに、その熱い熱で容赦なく体温を上げていく。
誰も居ない教室の隅で、私は泣いていた。
誰にも気付かれないように、滝のように流れる涙を必死に拭っていた。
何が悪いのか、何故泣いているのかすらも分からなくなっていた。
ただもう、全てを諦めてしまおうかと思っていた。
大切なものを失った今、私には何が出来るというのか。全部虚像なんじゃないかと思ってしまう。
夢も願いも、何もかもが。
ー
全ての始まりは、球技大会が終わった翌日の事だった。
何の間違いなのだろうか、教室で私は成宮くんと談笑していた。
授業も終わって、今から２学期の文化祭に向けて準備が始まる。
まだ下準備の段階のため、大半はのんびりと自分のやりたい事をやっている。
そんな中で、成宮くんはわざわざ私の机の所までやって来たのだ。
「一ノ瀬さんって作家になる事が夢なんでしょー？」と暴露しながら。
全くデリカシーの無い発言に何かが切れた音がしたけれども、気にしない事にした。
「で…なんで私の所に？」
「えっ。なんでって…単に俺が一ノ瀬さんと話したかっただけ？」
語尾に「？」を付けながら言う成宮くんは、全く悪びれる様子はないようだ。
挙句「兎に角話したいから！」と無理やり決めていた。
「私に話したい事なんて…」
「あるよ。『夢』の事」
きっぱりと夢の事を言われて、驚きで身体が硬直してしまった。
自分の将来の夢の事なんて、妹か南弥ちゃんにしか話していなかったからなのだろう。
「 一ノ瀬さんの夢の事を知りたい」と言われたから、私は思いのままに成宮くんに伝えた。
私が作家になろうと思ったきっかけ。
作家になって、何をしたいのか。
成宮くんは、青い瞳を子供のように輝かせて話を聞いていた。
自分の夢を思いのままに話せるのは、何よりも嬉しい。
だから私は、恥ずかしく感じる事無く自分の夢を話せたのだと思う。
成宮くんは「頑張れ」と言ってくれた。
それがとても嬉しくて、表情を綻ばせた。
成宮くんの変わらず眩しい笑顔を見ていたら、自分の気持ちが本当なのだと分かってくる。
好きなんだね、成宮くんの事。
今まで彼は高嶺の花のような存在で、永遠に目を合わせる事はないのだろうと思っていた。
でも今はどうだろうか。
普通に会話をして、笑い合える仲となっていた。
それだけでも幸せだと思うよ。
たとえ伝えられなくても。
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希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます、全く更新出来てなくてごめんなさい|ω･`) (2015年7月1日 16時) (
レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - 頑張ってください (2015年7月1日 6時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます！ちゃんと鳴ちゃんおちなので大丈夫ですよ！物語の展開はここからです(´∀｀*) (2015年5月3日 18時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - え・・・鳴違う子の方にいっちゃうの↓ すいません鳴大好きなものでして、いつも楽しみにしています！ 続き楽しみです。頑張ってください！ (2015年5月3日 18時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
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