26.感知 ページ27
一ノ瀬さんの親友…榊原南弥。
彼女の席は、俺の斜め右前方にある。
一ノ瀬さんを振り切って席についた榊原さんは、ずっと左手を庇っているかのような仕草をしている。
そこに、何かがある。
そう予測した俺は、ずっと榊原さんの左手に注目していた。
朝から一ノ瀬さんの手をはたいたというのに、榊原さんの表情は普通そのもの。
ちらりと一ノ瀬さんを横目でみると、唇はキュッと締まっていた。
朝の一件にかなりショックを受けたのか、伏し目がちになっている。
それくらいショックだったんだと思うと、何故か怒りが湧いてくる。
なんで一ノ瀬さんをはたいたのか、理由を知りたくなる。
ー
朝の一件が思ったよりショックを受けたみたいで、しばらく授業も耳に入らなかった。
いつも優しくて明るい南弥ちゃんなのに、今日は何処かが違った。
なんでいつもと違うのは分からないし、知るよしもない。
ただ1つだけ分かるのは、南弥ちゃんがあんなに怒るような出来事があった…という事。
なんで…。
考えてみても分からなくて、心当たりも全く無かった。
考える度に、悲しみが溢れてくる。
今まで南弥ちゃんが怒って手を下した事は無かったのに、一体彼女に何が起きたんだろう。
机の木目を眺めているうちに授業は終わり、成宮くんが私の所に来て言った。
「一ノ瀬さん大丈夫?」
「うん…大丈夫」
人に心配されると、涙が出てきそうになる。
それを堪えて、必死に泣かないようにした。
南弥ちゃんは席を立つと、何処かに行ってしまった。
「南弥もどうしたんだろうね?」
「二重人格かな?」
「そんな訳ないじゃん!」
クラスメイトも口々に言う。
皆も感じていたんだ。南弥ちゃんの様子がおかしい事。
「多分…南弥ちゃん、怪我とかしちゃったんだと思う。それで私が気付かないで手首、掴んじゃったから…」
成宮くんははっと目を開いた。そして、何かを察したのか、顎に手を当てた。
「…どうしたの?」
「ううん、ちょっと思い付いただけ!」
「そうなんだ…」
明らかに「分かったぞ!」という顔をしている。
何を考えているのかは分からないけど、解決したなら良かった。
「ねぇ成宮くん」
「何?」
「…ううん。やっぱり何でもない」
訊こうと思ったけれども、やめた。
不思議そうな顔をして、成宮くんは私を見ていたのだった。
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希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます、全く更新出来てなくてごめんなさい|ω・`) (2015年7月1日 16時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - 頑張ってください (2015年7月1日 6時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます!ちゃんと鳴ちゃんおちなので大丈夫ですよ!物語の展開はここからです(´∀`*) (2015年5月3日 18時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - え・・・鳴違う子の方にいっちゃうの↓ すいません鳴大好きなものでして、いつも楽しみにしています! 続き楽しみです。頑張ってください! (2015年5月3日 18時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
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