25.表情 ページ26
「あき…もしかして」
妹が驚愕を露わにして言う。
「好きな人が出来ちゃったダイエット?」
「ちちち違うの!ただマカロン食べちゃったからお腹いっぱいなの!」
あながち間違っちゃあいない?
全然違う。
寧ろご飯は沢山食べたい。
「体重も体型も人並みなのに…バストを除いて」
さりげなく言われたコンプレックスに軽い怒りを覚え、さらの頭を軽くぐりぐりした。
「人の事言えないよね?さら??」
「冗談だから!」
デリカシーの欠片もない子だが、一応は私の妹という事に変わりはない。
中学校でもこんな事を言ってしまっているのではと、姉として心配になってくる。
そもそも、何故私の体重を知っている…。
「まぁ気にしなくて平気だよ!それよりご飯食べようよ!」
「うん」
その日食べた夕食は、いつもよりも少しだけ美味しかった。
ー
翌日、いつも下駄箱で会う南弥ちゃんと会うことは無かった。
寝坊したのだろうか。教室に入って少し経っても、彼女が来る気配は無い。
やがて予鈴を告げるチャイムが鳴り、ドアを気にしながら席についた。
南弥ちゃんが教室に入ってきたのは、その直後だった。
「どうしたの?南弥ちゃん全然来ないから…心配したよ?」
席を立って、南弥ちゃんのもとに駆け寄った。
南弥ちゃんは、疲れたような顔をしていた。
そこから推測するに、あまり眠れていなかったみたいだ。
「早く席に…座ろう?」
寄って右手を差し出した。南弥ちゃんの左手首を握ろうとした。
「…やめて!触らないで!!」
「っ!!」
力加減無しにはたかれた右手。
南弥ちゃんは…誰も考えられない程の表情に満ちていた。
怒りと、妬みに満ちた表情。
そのドス黒い何かに気圧されて、声が全く出せなかった。
「南弥ちゃん…?」
南弥ちゃんは左手首を守るかのように握りしめて、私の横を過ぎ去った。
クラスメイトの誰もが、驚いた顔をする。
それはそうだ。
南弥ちゃんの怒った顔を、私も含めて誰も見た事が無かったのだから。
しかし、ただ1人だけ。
成宮くんだけは違った。
成宮くんは頬杖をついて、ツンとした表情で窓の外を眺めていた。
有り得ない事に、たまらず脚が震える。
「…」
訳が分からなくて目の奥が、心の奥が疼くように痛くなる。
妙な胸騒ぎがした。
ただの胸騒ぎではない、明らかに何かが可笑しいと告げるかのような胸騒ぎだった。
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希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます、全く更新出来てなくてごめんなさい|ω・`) (2015年7月1日 16時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - 頑張ってください (2015年7月1日 6時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます!ちゃんと鳴ちゃんおちなので大丈夫ですよ!物語の展開はここからです(´∀`*) (2015年5月3日 18時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - え・・・鳴違う子の方にいっちゃうの↓ すいません鳴大好きなものでして、いつも楽しみにしています! 続き楽しみです。頑張ってください! (2015年5月3日 18時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
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