検索窓
今日:19 hit、昨日:5 hit、合計:62,890 hit

10.友達 ページ11

あの痴態がきっかけで、成宮くんと話す機会が異様に増えた気がする。

あの痴態が良かったのか悪かったのか…。


「ねぇねぇ一ノ瀬さん!」

「な、なんでしょう…?」

「成宮くん。今お取り込み中だよ?」

「大丈夫だよ」

「そう?」


ちょっと訝しげな顔をした南弥ちゃん。ごめんね、話切っちゃって。


「な、何?」

「野球部に入らない?」

「無理だよ私、野球やった事ないもん。ルール、基本的な事しか分からないし…あと」

「京華ちゃんもいるよ?」

「う…」


私は押しに弱い方だった。

野球部のマネージャーになってもいいけど…それよりも…。

言いたいのに言葉が出なくて、口ごもってしまう。


「…まぁ、入りたくなったら俺に言ってよ」

「う、うん」

「でも今日は見学来てね!」


別に、見学程度ならいいか。そう思った。

成宮くんは去っていった。嵐が過ぎたかのように。台風一過?


「ねぇねぇ」


なんであれから、私に話しかけてくるようになったんだろう。…成宮くん。


「あき?」


あの成宮くんと話せるようになったのは、素直に嬉しい。だけど…。


「あきってば!」

「あ、ごめん!」


いつも温厚な南弥ちゃんが、口を尖らせて私の方を見ていた。

南弥ちゃんが怒るのは、滅多にない。それだけ優しい子なんだけどね。


「…最近、成宮くんと仲いいよね」

「そうなのかな…」

「だって楽しそうに話してるんだもん。私ぼっちで寂しいよ?」

「な、南弥ちゃんは友達いっぱいいるじゃん!私よりもずうっと」

「でも…あきが心配なんだもん」

「なんで?」

「私からどんどん遠ざかっていっちゃうようで…ちょっと怖かった」

「そうだったんだ…」


南弥ちゃん、そんな事を考えていたんだ。

いつも温厚な南弥ちゃんは、自分の事を言わなかった。南弥ちゃんが本音を言うのは、とても珍しい事だった。


表情を曇らせた南弥ちゃんの手を、そっと握った。


「ごめんね?一人にはしないから」

「うん」


南弥ちゃんは笑顔になった。


「で〜さっきの話の続き…って何だっけ?」

「ええと…忘れちゃった」

「本当。ちょっと経ったら忘れちゃうなんて、私達ボケてきたね!」

「そうだね…!」


そうやって、笑いあった。

11.迷子→←9.痴態



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (118 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 成宮鳴 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます、全く更新出来てなくてごめんなさい|ω・`) (2015年7月1日 16時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - 頑張ってください (2015年7月1日 6時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます!ちゃんと鳴ちゃんおちなので大丈夫ですよ!物語の展開はここからです(´∀`*) (2015年5月3日 18時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - え・・・鳴違う子の方にいっちゃうの↓   すいません鳴大好きなものでして、いつも楽しみにしています! 続き楽しみです。頑張ってください! (2015年5月3日 18時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:希望 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年3月26日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。