君は僕に似ている【白河勝之】

番外編.そう遠くない未来 ページ31

澄んだ青い空の下で。


「あ、これ…聴いてみてください」


京華がイヤホンの片方を渡す。

片耳に付けたイヤホンから流れてきたのは、歌…ではなくクラシック。

ピアノの奏でる音がとても綺麗で、心地よい気分に包まれる。


「これ、最近気に入ってるんですよ」


そう言いながら微笑する京華。

青い髪の毛が風にたなびく。


「曲調がいいな」

「ですよね」


また空を見上げる。太陽がウザいくらいに照っていて、夏なのかというくらい。


青い空と彼女の青い髪が、綺麗にまざりあっている。


2人で座って、こんな事をしているのも好き。

言葉では言い表せないくらい、胸から湧きあがってくる何かがあって。

でもいつか、この関係が壊れるのが怖くて。


脆くて愛しい関係。


いっそ、このまま時が止まってしまえばいいのに。


目を閉じてそっと手を重ねた。


「…」


自分と同じように空を見上げる京華を見て、微笑ましくなる。




もう二度と離したくない。

時を超えてやっと再開できたんだ。


知ってる。ずっと辛い思いをしてきた事。

引き離されたあの日から、ずっと会いたいと願ったいた事。



何年間も、深海に沈んでいたんだ。

あの眩しい太陽も、分厚い雲に隠れてしまっていた。

そこから京華を救い出した。


やっと、やっと助けられたんだから、今度はずっと守り続けよう。



これ以上君が悲しい思いをしないように。




「また会えて良かった」


「私も…です」



どんな事があっても君を愛していこう。

例えこれが 決して報われないものだとしても、愛し続けよう。



隣にいる彼女を、優しく抱きしめた。

彼女はそれを、暖かく受け止めてくれた。


「ん…」


目の前の大切なものを守るようにそっと、包み込む。


妹だろうが関係ない。
守りたいものは守りたい。


大好き、だけじゃ足りない。何度言っても足りない。

大切な妹。俺の愛する人。


言葉だけじゃ全く伝わらないなら。
行動で示せばいい。ただそれだけだ。




白河と京華

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