百八話 ページ11
-スティーブン side-
最近仕事詰めだったからか、半自暴自棄になっていた。
少し休もうと仮眠室に行った。
ス「‥少し、寝よう」
直ぐに起きれるように、壁にもたれてまぶたを落とす。
小一時間は寝ただろうか、ノックが響いた。
ス「‥クラウス?
いや、違うか」
彼は既に帰った。
ならば、ノックをしたのはあの子だろう。
後に少し慌てた声がした。
ス「‥どうしたんだい」
「あのね、話があるの‥色々と」
僕は何も返せなかった。
"あの時"から、僕はあの子を見られなかった。
首元の包帯は、僕の心を"あの時"と同じくらい締め付ける。
今、彼女に会えば、僕はきっと泣いてしまうだろう。
僕が泣いているのを見て、彼女は困った表情で、僕を慰めるんだろう?
そんなのは、嫌なんだ。
ス「‥来ないでくれ」
僕は一瞬にして部屋を氷漬けにした。
そうすれば、彼女は引き返すと思った。
でも、扉は開いた。
素足で、足先や指先を赤くして、頬も赤くして、白い息で少しボヤけた透金色の瞳は綺麗で。
どうして、君は来てしまうんだ。
「話、聞いてくれる‥?」
ス「‥君は、なんなんだ。僕は君をあの時傷つけた。天使だから、傷が癒えるのは早いのも知ってた。
でも、その首元の包帯は取れないじゃないか」
そうさ、いつも苦しめるのは僕の方だ。
あの惨事が起きることを分かっていながら、彼女の願い通りに編成を組んだ。
組まなければ、苦しめずに済んだかもしれなかったのに。
いつも君を見るたびに後悔して、いつもを保つので精一杯で、だからできるだけ会わないように仕事を押さえて。
全く、我が儘にも程があるよな。
「‥ごめんね、スティーブン。辛い思いさせて」
何を言っているんだ。
君が謝る必要なんか無いのに、どうして謝る?
ス「‥君は!‥君はいつもそうだ。もっと、僕に頼ってくれれば‥」
謝るべきは僕なのに。
苦しいのは君なのに。
ス「‥苦しいのは、君だろう?」
あぁ、僕も君も、苦しいのか
40人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アンネ - 主ちゃんの心とかスティーブンさんの想いとかがとてもわかりやすくて面白かったです!これからも活動頑張ってください! (2019年3月9日 17時) (レス) id: 67a1c3a937 (このIDを非表示/違反報告)
鈴巴 - 主ちゃんが仲間と一緒にいて少しずつ、でも大きく成長していくのが読んでいてとても楽しかったです!これからも活動頑張って下さい!(^▽^)/ (2018年6月16日 22時) (レス) id: ad3d79f394 (このIDを非表示/違反報告)
ししょー(プロフ) - 心の雨と虹の空@現在低浮上ぎみさん» ご指摘ありがとうございます。大変失礼しました。 (2018年2月9日 21時) (レス) id: 23ac3f6a39 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空@現在低浮上ぎみ(プロフ) - オリジナルフラグ、外してください。 (2018年2月9日 20時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ししょー | 作成日時:2018年2月9日 20時