天才少女の過去を知る者はいない.４

第184話 薬師というチーム ページ40

美雪side





7月25日



薬師vs都立千草






今日は、クリス先輩と薬師の試合を偵察しに来た。




クリーンナップの1年3人は、本当に良く打つな……

それも、気持ちよく。





度胸あるな、あのトリオは。





薬師はよく点をとるけど、とられる側でもあるな。



薬師のエースの人、それ以外にもっと違う、隠し玉のような選手が居そうな気がしてならない。







クリス「桜、どう見える？」



美雪「………なんといか、何か違和感があります。」





クリス「違和感？」






美雪「パズルの、大事なピースが1つか2つ抜けている、そんな感じの………。

ベンチに、まだ切り出していたい切り札のような何かを、薬師は隠し持っている感じはします。」




クリス「そうか、」






なんだろう、何かモヤモヤする。


ここ数日で調べられることは、全てやった。

それでも、何かビデオでは見えない、“何か”が今この場にある気がしてならない。




私の思い過ごしだといいのだけれど………






そうこう考えているうちに試合は終わった。


12対3 7回コールド






想像以上に、厄介でやりにくい相手になるだろうな………





…………………

…………

…






クリス「市大を破った勢いそのままに、やはり薬師がベスト8に勝ち上がってきました。」




クリス先輩が今日の試合のビデオを見せながら、薬師の分析を説明する。





背番号18 真田 俊平


インコース主体の強気なピッチング。

打者の胸元をえぐるシュート。


急速もかなりあった。打ちにくそうだな……





あとは、打順に言うと、三島、轟、秋葉の1年3人。


この人達だけで7安打8得点。





本当に油断できない。






片岡「チームの盗塁数は7つか………」



クリス「はい。バントをしない分、積極的に走ってきていましたね。」




片岡「積極的に動いてくるランナーに意識しつつ、強力打線にも注意しなければならない。


バントしてこないことが、逆に投手陣への、プレッシャーとなることもある！」





その言葉とともに、投手陣の顔が強ばる。






片岡「思った以上に手強い相手かもしれんぞ………」





監督もそう思うか………





クリス「桜、何か付け加えることはあるか？」





すると、片岡監督に向けられていた視線がこちらに全て向けられた。








え、待って…………



あるけど、すごく言いにくい。

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