天才少女の過去を知る者はいない.４

第177話 振り返り ページ33

美雪side





7月23日



青道対明川 7ｰ2


青道高校ベスト８進出




序盤、味方の声援に応えようとすればするほど力んでしまった降谷君。


試合経験の少なさが形となって現れた結果、2失点、多くの四球。



こればかりは、夏の間に直すことは難しい。




けど、7回まで1年投手2人で試合を作ったことは大きい。




降谷君のストレートは最後まで打たれなかった。

テンポのいいピッチングで反撃の流れを作った沢村君。

残り2イニングをきっちり締めた川上先輩。



………これに、丹波さんが戻ってくれば、





けど、投手陣のことだけじゃない。


今日の試合、野手陣にも思うところは沢山あるだろう。



そこは、私が口を出していいところではない。




分かっているから、


あの人達は分かってるから、私が出来ることは、ノッカーぐらいだろうな。





にしても、想像以上だった。



明川のエース、楊 舜臣。


機動力のある1、2番を7回まで抑えていた。

クリーンナップを完全に抑えられていたときもあった。



なにより、捕手の構えたところに正確に投げ続けたことで、審判のジャッジを味方につけたこと。



アレが1番の誤算だった。



正直あのピッチャーと試合でやりたくない。


こっちのペースを乱される。





………振り返りはこれぐらいにしておこう。



一軍メンバーが帰ってきたら、反省会開くだろうし。



ちなみに、今、一軍メンバーは、次の試合＿＿市大三校対薬師の試合を見ている。


で、私はバスの中。



やっぱり残りたかったな、




市大三校の試合、1回しか見れなかったし。


あのチームは、怖い。


今年の春、選抜ベスト８。

その実力は本物。



春の大会で当たった時、エースの調子は良くなかったけど、最近本来の力を取り戻しているらしい。



そのエースを打ち崩すだけじゃない。



青道の強力打線と匹敵する市大の打線。

この打線を抑えなければならない。





何もなければ、おそらく、次の試合は市大三校と。




“何もなければ”ね、



高校野球は、何がおこるかわからない。


故に、どこかで強豪校が転けるという話はよくあること。





薬師＿＿＿＿




１回戦をコールドで勝ち上がり、これまでの試合でバントを1度もしなかった超攻撃型のチーム。


ツボにハマったときの得点力は侮れない。



どちらが相手でも、タフな試合になりそうだな、




そう考えてた頃、会場は波乱に満ちていた。

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