検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:23,440 hit

第54話 ページ7

民家を伝って繰り出される無数の斬撃が、徐々に風間のトリオンを削っていく。


耐久性に欠けるスコーピオンではそれらを受け止めきれず、風間は地面に膝をついた。


「なるほどな・・・いずれ来る実践に備えて、手の内を隠していたというわけか・・・」


「悪いね。生粋の能ある鷹なもんで」


頬にかすり傷を負っただけでほぼ無傷な迅が、余裕綽々といったように答える。


「・・・その“能ある鷹”は、とんでもない手駒を手中に収めているようだな」


皮肉めいた口調で迅を睨む風間。


それに対して迅は、「あぁAちゃんのこと?」と呑気にそう言った。


「Aちゃんはおれと手を組んだわけじゃないよ。今回はただ利害が一致しただけだ。


 二人だって、Aちゃんがいつも言ってる事、忘れてないでしょ?」


「・・・!そうか、『黒トリガーはあるべき者のところへ』・・・」


トリオンの漏出が著しい脇腹を押さえながら、風間は悔しそうに呟く。


迅は勝者のごとき笑みを浮かべながら、少しずつ風間たちに近づいていった。


「そう。たとえおれがここで風間さんたちに負けても、玉狛にはAちゃんがいる」


「“牽制役”兼“最後の砦”だったってわけか・・・」


壁に身を擡げた太刀川が、迅の説明ですべてを理解したかのように下を向いた。


そしてしばらくしてから再び顔を上げ、迅に対して言葉を放つ。


「だがこの作戦は二度は通用しない・・・風刃の性能は把握した。


 加えてAは司令直属の隊員だ。下手に何度も動けばあいつ自身の立場も危なくなる。


 あと三週間・・・正式入隊日までの間に、必ずおまえを倒して黒トリガーを回収する」


いつの間にか迅は、風間たちの間合いに入る程にかなり接近していた。


そして風間たちの間合いはすなわち・・・風刃の、しいては迅の間合い。


「残念だけど、そりゃ無理だ」


余裕げな笑みとともに繰り出される斬撃の帯。


既に相当なダメージを負っている二人には成す術もなく、緑色の閃光となって本部へと帰還する。


隊長格である風間と太刀川の緊急脱出を合図に、双方の激しい戦いは終わりを告げた。

第55話→←第53話


ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
設定タグ:ワールドトリガー , 迅悠一 , 太刀川慶   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シロナ(プロフ) - 世界さん» 温かい応援をありがとうございます!世界さんが楽しんでいただけたのなら幸いです。できる限り更新のほうも善処しますので、これからもよろしくお願いいたします。 (2016年6月6日 22時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
世界 - とても面白いです(≧∇≦)更新頑張ってください。 (2016年6月6日 18時) (レス) id: 5b7a28e31b (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - 銀河さん» 温かい応援ありがとうございます!銀河さんのご期待に沿えるように、精一杯更新していこうと思います。私事により更新ペースはかなり遅いですが、よろしければ気長にお待ちいただけると嬉しいです。 (2016年1月19日 20時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
銀河 - とても面白かったです!シロナsが書く文章がとても読みやすかったです。頑張ってくださいね。 (2016年1月17日 7時) (レス) id: 550193059d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シロナ | 作成日時:2015年10月23日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。