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第59話 ページ12

玉狛支部、訓練室の前。


オペレーター用のデスクに取り付けられたモニターを見ながら、修は戦慄していた。


「・・・10本勝負終了。トータル9対1、勝者、霧玄A」


宇佐美の口から淡々と告げられる対戦成績に、驚嘆と少しの焦りを覚える。


「(空閑が1回しか勝てない・・・これが、S級の力・・・!)」


隊の中では飛びぬけて戦闘能力の高い遊真が、たった一度しか勝てない。


相手がS級とはいえ、エースである遊真がここまで敵わないとは。


格上の強さを噛みしめると同時に、修はもどかしい気持ちでいっぱいだった。


グッと拳を握りしめる修に気づいたのか、宇佐美は修に優しく話しかける。


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。


 確かにAさんは強いけど、修くんたちがまず戦う相手はB級隊員。


 あんまり先々考え込まずに、少しずつ強くなっていけばいいよ」


「!・・・そう、ですね。ありがとうございます」


「うむ!精進なされ、若者よ!」


宇佐美がドヤ顔で満足げに頷いた瞬間、訓練室の扉が開く。


「やっぱり遊真くんにはスコーピオンかな。一番動きがよかったし」


「うーむ・・・刃(ブレード)を自由に出し入れできるのは、意外と面白いですな」


「遊真くんはスピードタイプだからね。弧月やレイガストだと上手く立ち回れないでしょ?」


「両方ともちょっと重かったしな。カタチも変えられないし、振り回すのには向いてないかも」


どれを使おうか決めあぐねている遊真に的確なアドバイスで答えるA。


そんなAに、修は話を持ちかけた。


「あ、あの、霧玄さん」


「Aでいいよ。どうしたの?三雲くん」


「突然ですごく申し訳ないんですけど・・・相談してもいいですか?」


「・・・もしかして、自分の実力について、とか?」


言おうとしていたことをそのまま見破られた修は、驚いたようにAを見る。


「その表情だと・・・当たりなんだね。


 正直なことを言うと、私は三雲くんの実力をよく知らない。


 あまり適当なことは言えないし・・・アドバイスするのは難しいかな」


「そ、そうですよね・・・変なこと訊いてすみませ「だから」・・・?」


修の台詞を半ばぶった斬り、Aはトリガーを片手に言葉を続けた。


「今からやろうか、10本勝負」


浮かべられたのは嬉々とした笑み。


「人を知るには、まず模擬戦から・・・でしょ?」


これが、彼女が“戦闘バカ”と誤解される理由の一つであった。

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あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


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設定タグ:ワールドトリガー , 迅悠一 , 太刀川慶   
作品ジャンル:アニメ
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シロナ(プロフ) - 世界さん» 温かい応援をありがとうございます!世界さんが楽しんでいただけたのなら幸いです。できる限り更新のほうも善処しますので、これからもよろしくお願いいたします。 (2016年6月6日 22時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
世界 - とても面白いです(≧∇≦)更新頑張ってください。 (2016年6月6日 18時) (レス) id: 5b7a28e31b (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - 銀河さん» 温かい応援ありがとうございます!銀河さんのご期待に沿えるように、精一杯更新していこうと思います。私事により更新ペースはかなり遅いですが、よろしければ気長にお待ちいただけると嬉しいです。 (2016年1月19日 20時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
銀河 - とても面白かったです!シロナsが書く文章がとても読みやすかったです。頑張ってくださいね。 (2016年1月17日 7時) (レス) id: 550193059d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シロナ | 作成日時:2015年10月23日 23時

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