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またしばらく見つめ合っている(そんなロマンチックなもんじゃなかった気もするけど)と、騒ぎでなのか、たぬきちゃんが目を開けた。
キョロキョロしたあと、彼を視界に入れた途端、
きゅー!!と鳴いて彼に飛びついた。
それを抱きとめた彼は、優しい笑みを浮かべてたぬきちゃんを撫でた。
…ホントに、飼い主さん、なんだな。
たぬきちゃんが、きゅ!きゅ!と、彼に何かを訴えるように鳴いている。それを聞いた彼は、また目を見開いた後、こちらを向いた。
「…悪かったな、勘違いして」
「……は」
なんだ、急に態度が変わるな、この人は。
「やまだが、お前が助けてくれたって言ってる。」
え、たぬきの言葉が分かるのこの人…?
色々と不思議な事が多すぎて、何を確認したら良いのかも分からなくなってしまった。
…まあ、根は優しい人(いや、人ではないのだろうけど…)らしい。
素直に謝ってくれた彼に、
「良いですよ、こちらも勝手に家へ連れてきちゃってすみません」
と返し、お茶でも入れますからその辺座ってください、と告げてキッチンへ立ち上がった。
お茶を淹れてリビングへ戻ると、大人しく座っている彼と、その膝の上ですっかり寛いでいるたぬきちゃん。
二人の目は、テーブルの上に向いていた。
そこには、私が会社で配るために作っているハロウィンのお菓子たちが並んでいる。
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花夜 - ツンデレうらさん可愛いですね!友達から漂って凝る気配って坂田さんですか? (2021年12月24日 22時) (レス) @page16 id: 02079f421c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろ鮎 | 作成日時:2021年11月4日 22時