つまらない日常を送っていた少女は異世界にトリップしました【薄桜鬼】〜参〜

＊９１＊ 目を覚ます ページ11

翌朝、目を覚ましてとなりを見やる。



未だ眠り続ける不知火にため息が漏れる。





『いつになったら目を覚ますんだよ……不知火』





そんなことを言いながらオレは不知火の髪に指を通す。





“不知火の方がいいのか？"





左之さんが言ったこの言葉は多分、不知火が好きなのかって意味だったんだろう。



ボンヤリとそんなことを考える。



オレが不知火を……？



そこまで考えて首をブンブンと振る。



……考えないようにしよう。



そう決意し、不知火に視線を戻して不知火の髪を梳く。





｢ん……

んぅ……｣





……不意に聞こえたそんな声にオレは驚いて不知火から手を離す。





｢……A？｣





久しぶりに聞いたその声。



そんなに長い時間が経っていた訳でもないのに懐かしく感じる。





『不知火っ！』





オレは身体を起こした不知火に抱きついた。



やっと、やっと目を覚ました！



オレは嬉しくて不知火の胸にすがりつく。





｢どうしたンだ？

Aらしくもねェ｣





そんなことを言いつつもオレの頭を撫でてくれる不知火。



久々のぬくもりに心が安らいだ。





｢つーか、ここはどこだ？｣



『新選組の屯所だよ』





不知火の疑問にそう答えると、不知火はそうか……と言った。





『オレ、不知火が目を覚ましたってみんなに伝えてくる！』





オレが立ち上がり言うと、不知火もオレに続いて立ち上がった。





｢オレも行くぜ｣





そう言う不知火に笑顔で頷くと、オレらは幹部達が朝餉を食べているであろう広間に向かった。

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