50*トントン拍子とお褒めの言葉 ページ3
｢A、今時間あるか｣
日直の為職員室にクラス分の提出プリントを届けに来ると鷲匠先生に声を掛けられ、一緒に教官室へと向かう。
斎藤先生もいらっしゃったので挨拶をしてからソファーに腰を下ろした。
｢咲子に聞いたが、インハイ観に来るのか？｣
｢県予選の決勝見たけど、バレー面白いって思ったし格好良かった。強い人達との試合ならもっと凄いんだろうなぁって興味湧いて。｣
因みに咲子とは私のお母さんである。
高校は白鳥沢でおじいちゃんに教わっていたなんて豆知識あり。
バレーに命を捧げている様な人だから、私が興味抱いた事が嬉しそう。
｢宿泊先は決めたのか？
費用は自費だが、俺達と同じ宿で良いなら予約しておく。｣
｢良いの？費用はちゃんと出す！
最初の一泊はお兄ちゃんの所に泊めてもらおうかなって考えてたの。｣
｢そうか。
新幹線の予約はしたのか？｣
｢もうした方いいの？席無くなっちゃうかな？｣
｢俺達と同じで良いなら予約しておくぞ｣
｢それまで頼っちゃっていいの…？｣
｢1人増えるくらい変わらねぇよ。
A一人で来させる方が心配だ｣
教官室だからお菓子もらえるのかなってついてきたら嬉しいお話をもらえた。
東京にはお兄ちゃんが暮らしているから行く事もあるけど、その時は両親も一緒。
今回は一人だから確かに不安もあった。
｢ありがとう、おじいちゃん♡
甘えさせてもらうね。｣
｢ん。
詳しい時間が分かったら連絡する。
それと…聞きてぇ事があるんだがいいか？｣
斎藤先生に頂いた羊羹に手をつけようとしているとどこか圧のある声…
なんかやらかしたか…と不意に脳裏を巡るも何もないはず！多分。
｢…なぁに？｣
｢賢二郎と付き合ってんのか？｣
おっとダイレクトな質問がぶっ飛んできた！
これは言っていいやつ？大丈夫？
どこから漏れた？いや、もう交際を公にしたから三年生からか…
この間0.3秒。
｢…そう、だけど…｣
｢先日の水泳の授業の話を聞いた。
時代も変わって来ている。水泳は男女別になるだろうな。｣
後ろにいた斎藤先生が補足してくれ、賢二郎と太一が私を庇う為に男子に喝を入れたのが体育教師が見ていたらしく…
その話がおじいちゃん達の耳にも入ったと。
｢…いい男だ。真面目で努力家。｣
それっきりおじいちゃんは新聞見始めて話さなくなる。
…賢二郎が褒められると私も嬉しい。
おじいちゃん達にお礼を言って教室に戻ることに。
夏が楽しみになる。
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作者名：モカ
| 作成日時：2020年4月10日 21時
