51*あまえたさん？ ページ4
教官室を出て、一応兄に連絡するも講義中かな？電話に出ないや。
ゆっくりと歩いて教室に戻ると、お昼のだらけなのか生温い空気が流れていた。
それは賢ちゃんもらしく、頬杖ついてぼーっとしてる。
｢どこ行ってた？｣
｢寂しかった？｣
｢うるせぇ。｣
今日も変わらずに口が悪いなぁと思いつつ、自分の席に着き次の授業の準備をした。
横目で賢ちゃんを見るも眠いらしいのか眉間にシワ寄せてウトウトしてるのがちょっと可愛い…
恐る恐る頭を撫でるも抵抗されず…
ほんとに眠いやつだ。
｢大丈夫？｣
｢あたまはたらかねぇ…｣
｢甘いもの食べる？｣
｢おまえたべたい｣
｢だめ、学校だよ｣
｢…けち｣
そのまま私の肩に頭をぐりぐりして来るけど、ここ教室のド真ん中で勿論だるそうな空気ながらクラスメイトも居ます。
みんな驚いた顔でこちらを見ている。
なんなら太一もいて、この状況を無言で動画に納めてる。
｢その動画あとでちょうだい。｣
｢高いよ｣
｢買わせていただきます。｣
こんな事言っててもまだ私の肩にいる。
なんでこんなに疲れてるのか…
最近の練習はきついって聞いてたからそれかなぁ。
甘えてくれる事ってあんまり無いから嬉しいけど…
ふと震えたのは私の携帯で、先程の折返しが掛かってきたらしい。
｢もしもし、今大丈夫？大学？
夏休み泊まりに行くって言ったでしょ｣
先程までのとろんとした目はどこへやら、めっちゃ見てくる。すごく見てくる、賢二郎さん。
[あーそんな連絡来てた。
こっちはいつでも良いぞ]
｢初日だけ泊めてもらうから。
残りはホテルか旅館…どっちか分からないけど予約して貰える事になったの。｣
[当日はじいちゃんと一緒だろ？俺も旅館の飯食いたい…]
｢そんなところだからまたね！｣
あまりにも賢二郎さんの視線が痛くてさっさと通話を終えた。
え、なんでそんなに見てくるの？こわい。
｢誰と電話してた？｣
｢…今凄い怒ってない？
寝ぼけてた時可愛かったよ…？｣
｢電話の相手、誰？
男だったよな。｣
｢お兄ちゃん。｣
｢は？｣
通話履歴を見せれば納得したのかまた肩に頭をぐりぐりしてくる。かわいい。
賢ちゃん、もしかしてヤキモチ妬いたのかな。
ムフフと笑えば舌打ちされてしまう。
そんなことよりも。
触れたおでこが熱い。
｢…保健室行こ？｣
｢なに、賢二郎熱あんの？｣
｢…多分。
目据わってるし。｣
｢目はいつも据わってるじゃん…｣
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作者名：モカ
| 作成日時：2020年4月10日 21時
