【テニプリ】せーの！邪道ヒロイン伝説！！

邪道ヒロイン1 ページ2

チョコ。

グミ。

煎餅。

ポテチ。





残金153円。

何を買おう。



万引き……。

いや、さすがに駄目だろう。



だけど、いくらなんでもお財布がさみしすぎる。


昨日は更に5000円札があったんだ。

だけどペットのヤギ に食べられちまった。


ちなみにヤギの名前は“ぶー子”

色々食べてでかくなったから、“よし子”から改名した。




もーいい。




「おばさん、割引きして」



レジに全てもっていき、153円をドンっと置いた。



「申し訳ございません。
当店では割引きは禁止となっております」



レジのおばさんは、眉をひくつかせながらそう言った。



しょーがない。と私はその場に座り込んだ。

カバンからノートを取り出してビリビリと1枚破く。

不恰好な切り口。

そんなことはどうでもいい。


筆箱に入っているペンを一つ取り出して、
紙に大きく“割引券”と書く。



のそのそと立ち上がり、レジのおばさんに押し付けた。




「はい、割引券」


「使えません」




あまりにもさらりと返された。

私は驚きすぎて、開いた口が塞がらない。



「ま、まじでか！おばさん！
時代は今、割引券だよ！
おばさん、おばさんは確かに年代が違うかもしれない。
だが、若さは帰ってこないんだ。
誰も悪くない。誰も悪くないんだ。
だけどね、おばさん。
時代の流れに逆らっちゃいけない。
今。割引券が流行ってる、それは変えられないんだ……。
おばさん、割引券を受け入れてみないかい？」




ちょっと泣きそうだったよ。

いや。まじ泣きそう。

うん、こうして友情は芽生えていくんだな。




「お客様、お引き取り下さい」

「え？」

「お客様、お引き取り下さい」

「聞こえてますけど！
驚いて聞き返しちゃっただけですけど！」



ふんふんと、鼻息を荒げる。


どうして彼女は笑ってるんでしょう？

とても、とても、怖いです。

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