幼馴染武勇伝【幸村様誕生記念企画】追加SS

幼馴染17 ページ17

大粒の涙を流す私に、
精市が息を呑むのがわかった。




「俺は――――――――」


「幸村先輩っ！」



口を開いた精市に、被せる甲高い声。


笑顔で駆け寄ってくるのは、
ツインテールの可愛らしい女の子。

精市の腕にぎゅっと抱きつくその子。


ああ、精市の彼女か、とすぐに理解した。




あれ？なんか心臓が痛いや。

涙が余計に溢れてくる。


なんだろう、この感情。



精市が怯んだ隙に、思いきり腕を振り払った。


そして私を睨みつける彼女と精市を置いて、
当てもなく駆け出す。




色んな感情がぐるぐる回って、自分が分からない。


その時、唯一母が教えてくれたことが脳裏をかすめた





精市の事で頭がいっぱいだ。



『恋っていうのは、その人の事で頭がいっぱいになるの』





胸が苦しくて仕方ない。


『その人が他の子と話してたら、胸が苦しくなって』





黒々しい感情が込みあげてくる。


『黒い感情で埋めつくされるの』







ああ、やっと分かった。


この感情の正体が。



どうして、悲しかったのか。

どうして、泣きたくなるのか。





全部わかった。





.




.




.




.




.








私、精市の事、好きだったんだ。

幼馴染18→←幼馴染16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す