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「……謙也さん」
「おう!謙也さんや!」
現れたのは、同じクラスの謙也君だった。財前君が謙也君に話しかけたのを不思議に思ったけど、二人がテニス部だということを思い出し納得する。
「……お?Aやないか。せや、お前図書委員やったな!」
「そうだけど……あ、今馬鹿にしたでしょ!」
「してへんしてへん!…………ん、どうしたん財前?」
謙也君のその一言で、財前君の存在を思い出す。お喋りに夢中で完全に忘れていた。本人を見てみると、頬杖をついてそっぽを向いていた。何やら機嫌が悪そうにも見える。
「……何もないっすわ」
「嘘や財前!何イラついとんねん!」
「そうだそうだ!」
私も便乗してみると、財前君がピクリと反応した。
「……謙也さん、本返したなら帰ったらええんとちゃう」
「お前先輩に対してその言い方はないやろ!!」
「……」
いつも冷たい彼だが、ここまでキツイ当たり方をすることはなかった。明らかに何かがおかしい。それは謙也君も感じたようだ。
「……えーと……俺、用事あるから帰るわ!!」
「えっ、謙也君!?」
すると、突然謙也君は飛び出して行ってしまった。流石浪速のスピードスター。もう跡形もなくいなくなっていた。
恐る恐る財前君に視線を送ると、目が合う。少し、心臓が音を立てたような気がして、一瞬息が止まった。彼はまた溜息をついた。
「……ホントに、アンタは」
「えっ?ざいぜ……」
する、と彼の指が私の頬を撫でる。驚いて身じろぐ。優しい目でこちらを見ている彼。思わず目を閉じた。
「……ふ、」
彼の吹き出す音が聞こえ、ゆっくり目を開く。
と同時に、指が離れた。
「……何、なんか期待したん?」
ニヤリ、と意地悪く微笑まれ、頬が熱くなった。机に顔を埋める。
「……財前君の馬鹿」
「…………こんなことすんの、アンタだけですわ」
恥ずかしすぎて、財前君の言葉にも顔を上げられなかった。
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予想以上のhit数に驚いてます。
本当に嬉しいです…これからも頑張ります!
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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時