mission55 ページ16
Noside
城下町の薄暗い路地裏は表通りと違い治安が悪く、滅多に人が立ち入らない。
だが、そんな路地裏に向かって足を進める青年が1人。
凛月｢…｣
青年はしばらく無言で路地裏を進むと、とある場所でふと足を止める。
そして青年は紅い瞳を薄暗い路地裏の先に向けた。
視線の先には青年とあまり歳の変わらなそうな鋭い眼光に白銀の髪の毛をもつまるで狼を連想させるような青年が居た。
白銀の髪を持つ青年は、黒髪の青年に気づくとニヤリと口角を上げ口を開いた。
?｢よぉ。久しぶりじゃねぇか。リッチ〜。｣
リッチ〜、もとい、怪盗Knightsに所属する黒髪の青年…凛月は路地裏の壁によりかかり、軽く片手を挙げる。
凛月｢コーギーも。久しぶりだねぇ。最近は殆ど手紙でしかやり取りしてなかったし。｣
?｢まぁ、そっちの方がお互い楽だからな。｣
コーギーと呼ばれた青年の名は大神晃牙。
凛月が普段懇意にしている情報屋である。
大神｢それにしても、いきなりどうしたんだよ。普段の案件は手紙だけで済ます癖に、こんな所に俺様を呼び出しやがって。｣
凛月｢ごめんって。今回は俺の完全な独断だからさ。メンバーにバレたくなかったんだよね。｣
大神｢そーかよ。…で?その独断ってのはお前らが最近アジトに住まわせてる女の事か?｣
晃牙がそう言うと、凛月は少しだけ目を見開いた。
凛月｢へぇ。知ってるんだ?｣
大神｢お前らがアジトで女を匿ってるってのはすぐに耳に入ってきたからな。で、その女の情報が欲しいんだろ?｣
凛月｢流石。話が早いね。…じゃ、いつも通り頼んだよ。｣
それだけ言うと、凛月はもたれかかっていた壁から背中を離し、その場を去ろうとする。
だが、晃牙は去ろうとした凛月の背中に声をかける。
大神｢リッチ〜よぉ、未だにあの皇帝とつるんでるらしいじゃねぇか。｣
凛月は立ち去ろうとした足を止める。そこに畳み掛けるように晃牙が言葉を続ける。
大神｢悪いことは言わねぇ、あの皇帝はやめとけ。きな臭い匂いがプンプンする。それに…｣
凛月｢煩いなぁ。コーギーには関係ないでしょ。｣
凛月は拳を固く握りしめて絞り出すような声で言った。
凛月｢俺の目的はただ1つ。"朔間"を滅ぼす事。それを邪魔するなら…コーギーにだって容赦はしないよ?｣
そう言って凛月は路地裏から去って行った。
大神｢お前だって…"朔間"の人間の癖にな。｣
その呟きは誰にも聞かれること無く影に消えていった。
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作者名：リューゲ | 作成日時：2022年8月1日 20時
