【カゲプロ】裏切り者の新団員の妹は感情皆無のはずの殺戮少女。

第22話 「意味を考えていた」 ページ24

ウィーンという音と共に店内に入る。





冷房が効いていて、いい感じ。






昔はこんなことあったな、なんて、思い出してたけど、口調を変えたのはソナタを忘れたくないから。






ソナタといた時間を忘れたくないから。







あ「それにしても…」






頼まれたものを次々にカゴに放り込んでレジに持っていく。







セトたちはどこにいる？





なぜカゲロウデイズに入ることができない？





なぜアザミたちと会えない？







殺人犯は誰？








レジでお金を払ってエコバックを掴み、外に出る。







だめだ、さっきからずっと同じことを繰り返している。








わかるはずがない。





考え続けているのだから。








十字路を右折し、アジトへと続く路地に入る。







そういえば通り魔の奴、こういう路地で犯行をしたとかいってたな。








人をコロしてなにが楽しいんだか。






バカみたいだな。






と。







あ「…？」






俺は急に立ち止まった。









眉をひそめ、じっと前を見つめる。







そこには、数人の人間がいた。






ただひとつ可笑しいのは、1人のみ倒れているということ。







倒れている人はぴくりとも動かず、その周辺は赤く染まっている。








通り魔。





この三文字が頭に浮かぶ。







逃げなきゃと、後ずさりをすると、体が壁に当たって音が鳴った。







奴は振り向き俺を見つめる。






やばい死ぬ。




確実に。






死ぬ。







そう思い、近づいてくる通り魔に覚悟を決め目を閉じる。







足音が俺の前で止まった。






だけど、いつまでたっても痛みは感じない。







そっと目を開くと、目の前に通り魔がいた。






あ「コロさないのかよ、通り魔さん」






そう言えば通り魔はフードの奥で笑って俺に聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。








「もう人数分コロした」






隣を通り過ぎていく奴をぼんやりと見つめて俺はずっとその意味を考えていた。









目の前には動かない人間が寂しそうに眠っていた。

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