第10話:約束 ページ11
千秋side
Aが意識不明の状態になって3日が過ぎた。
俺はというとこの3日間ほぼつきっきりでAの傍にいる。
早い話学校には早退したあの日から一度も行っていない。
もちろん学校には了承を得ているから問題はないがな！
今日もまた、Aが目を覚ますことはないのだろうか…？
「っていかんいかん！俺が弱気になってどうする！」
俺の頭の中には、主治医の言葉が何度も繰り返し繰り返し流れていく。
「…なぁA、生きることを諦めてはダメだ」
俺はそんなにも頼りなく見えるのか？
お前の中に、俺の言葉は響かなかったのか？
「少し…話をしよう」
優しく頭を撫でて、Aにしっかり聞こえるよう話す。
「覚えているか？あれはまだ、お前が歩けていた頃のことだ。
病気が治ったら何をしたいか聞いたら、『学校に行きたい』と言ったな…？」
『学校に行って千秋と勉強したい』
その言葉を俺ははっきりと覚えている。
「俺が高校に入学して、もう一度同じことをお前に聞いた。そしたらお前は笑って…」
『アイドルになるんでしょ？だったら私、千秋のライブに行きたいな』
「覚えているんだ…お前と話したこと全部、俺は覚えてる…！」
だから…俺は知ってる。
お前が時々辛そうにしてることも、寂しくて泣きだしそうになることも。
「A…まだお前との約束を、俺は果たせていない」
俺のライブにお前を連れて行ってやる。
そう約束しただろう？
「諦めるな」
お前の居場所はまだここにある。
お前が戻ってくるのを俺はずっと待ってる。
「俺が…代わってやれればいいのに」
そうすれば、お前がこんなに苦しまなくて済む。
日に日に弱っていくお前を…俺はこれ以上見ていたくないのだ。
「正義のヒーローになりたいと夢見てた」
子供の頃からずっと、ヒーローは俺の憧れだ。
「ライブでたくさんの子供たちが俺たちを見て笑顔になってくれる」
アイドルであり続ける限り、俺は子供たちのヒーローになれる。
「それでも…」
それでも…
「誰よりも笑顔にしたい奴が笑ってくれないのでは意味がない…！」
笑顔の『仮面』を剥がしてやれなければ意味がない。
「何よりも守りたい奴を守れなければヒーローとは言えない」
俺はお前一人守れない情けないヒーローだ。
「好きな奴一人守れないのならば…俺は何の為にここまで頑張ってきたのだ…？」
お前を見るたび、俺は自分が無力だと痛感させられる。
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ゆず - はじめまして！初めてコメントします。凄く素敵な話でした！！泣きました！更新頑張ってください、待ってます！ (2018年4月8日 16時) (
レス) id: 874af4f1e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒月 恋 - いいお話です… 更新頑張ってください！ (2016年7月20日 22時) (レス) id: b9aef4f050 (このIDを非表示/違反報告)
燐火(プロフ) - ピノさん» ありがとうございます！流星隊本当に可愛くて仕方ないです！あの可愛さを出来る限り表現しようと思ってます(´△｀)楽しみにしていただいて本当感謝です！ (2015年9月19日 20時) (レス) id: bc8efcb7ec (このIDを非表示/違反報告)
ピノ - だめだニンニン可愛いすぎる。 流星隊大好きなのでこのような小説があって嬉しいです。更新頑張って下さい!!!! (2015年9月19日 20時) (レス) id: e3d4af0da7 (このIDを非表示/違反報告)
燐火(プロフ) - ぼた餅さん» わわわ！ありがとうございます！なんと勿体無いお言葉っ!!亀更新申し訳ない限りですが頑張らせていただきます(´△｀) (2015年9月13日 21時) (レス) id: bc8efcb7ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燐火 | 作成日時：2015年8月20日 17時
