15話 ページ17
Aside
『太刀川さん!?』
この人が?と純粋に思った。
さっきまで陽介と喋っていた時、そんなに強い人ならもっと落ち着きがある人だと思ってたいたがその予想は大きく外れた。
雲の上だと思っていた存在がこちらを見て大笑いしながら話しかけている光景に思わずあいた口が塞がらないでいた。
「攻撃手1位の人がどうして俺達に....」
出水も驚きながら、太刀川さんに疑問をぶつける。
「あー、そうだった。面白くて目的忘れてたわ。
お前ら、俺の隊に来い。」
ん?今なんて...
「俺達まだ訓練生ですよ...?」
「んなこと分かってるよ。B級に上がったらって話だ。」
『えっと、私達まだ入隊して1ヶ月なので他のA級とかB級の隊とかもあんまり知らないんですけど...。』
「他の隊なんて関係ねーだろ。トリオン量がバカなコイツと、新人ながら冷静な判断が出来るで噂のお前が居れば間違いなく太刀川隊はA級1位になる。」
一体その自信はどこから湧いてるのやら。
と思ったけど、それを私達を見て確信できる太刀川さんは本当にすごい人なのかもしれない。
でも...
『私にはそんな実力ないです...』
ソロ総合1位、攻撃手1位。
この肩書きを一緒に背負えるほどの実力は私にはない。
「えっと、いーた?」
『よりたです。』
この人漢字読めないのか...。
「そーだった。依田、お前大規模侵攻で両親失くして自立するためにボーダーに入隊したんだってな。」
『どうしてそれを!』
私は思わず目を見開いた。太刀川さんから目を反らせなくなる。陽介に感じた時の感情が読めない目だ。
「まあ、俺の師匠がちょいとばっかし偉いさんでな。A級になれば給料も出るし、申請すれば個室だって用意される。お前の望む自立に近づけるんじゃないのか?」
『....っ』
この人は一体どこまで知ってるのだろう。
手が白くなる程強く握り、冷や汗すら出てきた。
本人は無意識なのかもしれないがすごい気迫だ。これが1位...
「出水の入隊理由はえーとなんだっけな。あっ、そうだそうだ。大切な人をまも「うわあああ!それ以上はダメですってば!」なんだよ。言ってないのか。」
出水と太刀川さんはわーわー騒いでいる。出水が妨害したせいで入隊理由は聞こえなかったが。
『少し考えます。今日中には答え出すので...。』
分かったと太刀川さんは出水から手を離し、ランク戦のブースに戻っていった。
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作者名:いーす | 作成日時:2019年4月30日 17時