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16話 ページ18

Aside





太刀川隊への勧誘。




自立するチャンスと人を助けられるという面で素晴らしい提案だと思う。



でも私は今の段階で太刀川隊でやっていくだけの実力がない。
確かに人より成長は早いけど、それだけなのだ。



時間をかければ誰でもできるようになる。そんな人材は別に必要ない。



もっと撃てるようにならなきゃという気持ちが私の人差し指にかかった引き金を引く。



バン




バン




バン





周りの銃声も自分の心臓音ですら煩わしく感じる




うるさい



もっと撃てるようにならなきゃ


....



あたりはすっかり暗くなり、聞こえていた周りの銃声も静かになった。



しかし、私にはスコープ越しの赤い的しか見えていなかった。



もう少し左。今度はもう少し上。



トリオン体で身体的な疲労を感じない体は引き金をひたすら撃ち続けた。



しかし、次の瞬間人差し指を動かしても思うような反動は来なかった。



それまで無心で撃っていたので突然の出来事に驚いた。どうして、弾が出ないのか。



すると後ろから昼に聞いた声が聞こえる。



「トリオン切れだ。自分の手見てみろ。」



私は訳も分からず太刀川さんの言う通り、イーグレットを置いて自分の手の平を広げた。



指先はひび割れ、青白い光が漏れていた。



時計を見ると21時半。約5時間の間撃ち続けていたらしい。



換装状態を保てなくなったトリオン体はひび割れて消え、元の制服姿に戻った。



「東さんがここ閉めるって言ってたから、移動するぞ。」
『あ、はい....。すみません。』



自販機前まで来ると、太刀川さんはほらよっとコーンスープの缶を投げた。



お礼を言って自販機横の椅子に腰掛け、冷めないうちに缶を開ける。



「答えは出たか?」



何に対するというのは言うまでもない。私の心はもう決まっていた。



『はい。私....太刀川隊に入隊しようと思います。』



太刀川さんは少し驚いたように目を見開き、口を開いた。



「断られるかと思ってたし、ちょっと驚いたな。一応理由聞いてもいいか。」

『ある人に言われたんです。“ 守りたいものがあるなら一緒に守ってやる。だから頼れ " って。


だから私は太刀川隊の皆を頼ろうと思います。そういう風に言ってくれた人のために、そして今度こそ自分が救えるはずの人を救うために。


そのために力を貸してくれませんか。太刀川さん。』



太刀川さんは笑っていた。



「まかしとけ。」






.

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作者名:いーす | 作成日時:2019年4月30日 17時

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