Eveと訳アリ同居始めました。【あんスタ】 (ページ36)

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35 魅了されてページ36

Aside

寮の部屋で私はそわそわしていた。
何をしても集中力が途切れてしまう。
ライブの興奮が冷めないうちに二人に思ったことを伝えたい。

感動して、いろんな感情が溢れて…。

あれこれ考えていると、鍵の開く音と共にドアが思いっきり開けられた。

「たっだいま～！Aちゃ～ん！」

「おひいさん、声でかい！バレたら元も子もないんすから！(小声)」

日和の唐突なハグに私は驚きが隠せない。
ハグされた勢いで日和の匂いがぶわっと香る。

「あとおひいさん、そんなに強く締め付けたらAさん息できないっすよ」

ジュンは荷物を下ろし、整理を始めた。

「ふふっ、それは悪かったね、Aちゃん…あの…えっと…」

珍しく日和は私とあまり目を合わせようとしない。

「ライブ……どうだった？」

「…うん、私…」

何から伝えようか…、伝えたいことはいっぱいあるはずなのに思うように口から言葉が出ない。

「ぼくたち、あまりライブの感想とか直接女の子に聞ける場面少ないし…」

「オレ、ちゃんと出来てましたかね…？」

ジュンも荷物を整理しつつ、こちらに視線を送った。

正直、私がこんなにも凄い二人のことを意見していいのかだなんて引き目を感じる。

「…最初から最後まで…誰もが二人ともに釘づけで…私も魅了されちゃって、日和は笑顔絶やさずに歌を最後まで綺麗な声で歌いきっているし、ジュンはジュンらしくダンスも歌も一生懸命にやっていることが伝わってきて、なんか私、日和とジュンと一緒に居れてることが嬉しくて…」

二人は静かに私の話を聞いていた。

「二人の罠にまんまと引っかかった気分。なんか日和とジュンに感化されて私、頑張らなきゃって」

「君は十分頑張ってると思うね？」

日和の言葉に甘えそうになる。

「…嬉しいっす、オレたちは基本、茨経由でファンの意見を聞きますし、こうやってAさんが直接話してくれて…」

私は日和とソファに座る。
ジュンは荷物をまとめた後、少々照れつつもこちらに寄る。

「他にも日和の投げキッスとか、ジュンの即興ポージングとか……どうしよう、まだまだ話したりない…、そうだ、夕飯にキッシュ作ったし、いちごのデザートも作ったからそれ食べながら話してもいい？」

ライブに興奮したあまり、思い切って作ってしまった。

「え、キッシュ！？」

「いちごあるんすか！？」

高校生らしい笑顔を見せる二人、ライブでは見れない顔にも私は魅了されていた。