聞き込みの話 ページ43
高尾の聞き込みのに誠凛は再び耳を傾けた。
その中でも「眼帯」は割と聞きにくいワードであったが、それを聞いてしまって少し空気が沈んだ。
だが高尾は話題を切り替えて話を続けた。
その高尾のコミュ力の高さに彼女は感服していた。
「まあ、この目もカラコンじゃがな」
「えっ、そうなの?」
「こっちはモノクルを付けねばはっきりとは見えぬ。遠くははっきりと見えるが、近くがどうにも薄ぼんやりとしており見えん」
「モノクル!?……ってなに?」
「片眼鏡。これのことじゃ」
リュックから小さい白い箱を取り出すと、それを掛けて見せた。
「へー、はじめて見た。眼鏡意外にもあんだな」
「メガネは掛けられん。掛ける耳も無いのでな」
彼女は眼帯が掛けられている顔部分を高尾に見せると、確かに耳の形をした部位は無かった。
逆に片方は耳の形があって髪が掛けられていた。
「へー、ひどい怪我だな。せっかく美人なのに勿体ない」
「くふふ、お主と話すのは悪意を感じらなんだ。ついボロが出そうだな。そのコミュ力、実に素晴らしい」
「いや〜、褒められるもんでもないっしょ。それに、ボロが出そうということって、心を許してるって証拠でしょ?」
「お主は一言多いのう。その口に熱々のお好み焼きを放り込んでやろうか?」
箸を巧みに使ってほかほかのお好み焼きを高尾の口に突っ込もうとすると、高尾は何かに気づいて首を横に振った。
「ちょいちょい、それじゃ間接キスになっちまうぜ?」
「……ああ、すまぬな。配慮に欠けておった」
「いやいや、俺は別に良いんだぜ。ほらあっち見てみ?」
高尾に指さされた方へ視線を移すと、向こうの椅子の席に座ってる4人と誠凛ズがこちらを凝視していた。
「なんじゃ。お主らも食べたいのならば食べれば此方に来ればよい。人のことを不躾に見るんじゃない」
「あっ、ごめん。いやなんか、重い話が聞こえてさ…」
「昔の話じゃ。此奴、話し上手でのう。ついつい話し込んでしまった」
「さ、さあ、早く食べ終わりましょ!皆、準備して!」
さりげなくボロを溢したことを高尾のせいにして、お好み焼きを食べる。
だがそろそろ味に飽きたのか、4枚目を食べたところで「ごちそうさま」と手を合わせた。
「じゃあのう。黒いの」
「黒いのって!俺は高尾和成ってんだ。ヨロシク、センパイ!」
「じゃあの。高尾」
こうして一同は帰路に付いた。
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほんばし | 作成日時:2022年5月6日 16時