せんらさんと。【大型コラボ】 (ページ7)

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愛の言葉はいらない/sera ページ7

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いってきます、そう呟きながら玄関に置かれた写真を撫でた。今日も頑張るから、見とってな。

少し色褪せた黒いスーツと、俺の好みに合わないネクタイに、ネクタイピン。ピッタリ一年前から変わらぬ姿。自分でも怖いくらいだ。

いつもと変わらず会社に出社するが、今日の夜は特別。楽しみすぎて、仕事がすぐに終わりそう。なんて、未来予想。

少し上の空な気持ちで家を出た。

「お先失礼します。お疲れ様でした～」

そう言って、そそくさと会社をあとにした。仕事を押し付けられるわけにもいかないからだ。

明日は頑張るから許してください。そう願ってある場所に向かう。

僕には、大好きな彼女がいる。でも彼女であるAには、一年間一度も会っていない。何故ならAが必死に夢を追いかけているから。それを邪魔したくない。

会いたくない、といえば嘘になるけれどAの幸せが僕の幸せやから。彼氏として、応援したい。

そして今日はAが帰国する日。

この日のために仕事を前もって済ませたり、髪のメンテナンスをしたり、再会したときのカッコいいセリフを考えたりと、色々してきたけれどやっぱり。

その時がくると、喉からは何も出てこなかった。

「＿＿……ちょっと、おかえりの一つも言えないの？」

それが愛しい彼女の第一声。あまりに拍子抜けで僕の努力が無駄だと感じるほど。まぁ、そこがAらしいが。

Aは少し伸びた髪を後ろに払って、そう言った。

「そっちこそ、おめでとうの一つも言われへんの？」

「はいはい、おめでとう」

「冷たいなぁ…。おかえり、A」

仕返しとばかりに言うとAは予想通りの冷たい反応。

ツンデレで、何一つ可愛げのない彼女だけどそれでもやっぱり、Aがいない間ずっと君を焦がれてたよ。

なんて想いは胸にしまって、懐かしい香りを包んだ。

「………ただいま」

「相変わらずツンデレやなぁ」

「うっさい。誕プレあげないぞ、この胸毛野郎」

雰囲気もくそもない。

けど、そこが僕たちらしい。

いつの間にか来ていた僕たちの友だちは、僕らを囃し立てた。それにAは怒っていた。

懐かしい景色を見て感傷に浸りながら、Aの手をそっと握った。

握り返した彼女手は、あたたかかった。