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その14 。 ページ15

「…へぇ、怖がられてる、ねぇ」




私の話を全て黙って聞いた御幸は
頬杖を付いたまま、つまらなさそうに呟いた。






「…なーんかさ、自分で話聞くって言っておいて無責任だと思うけど、

小さいことで悩んでんだな、あいつ。」




小さいこと…?



「それって、どういう意味?」


少し眉間にシワを寄せて私が言うと、

御幸は“くだらねぇってわけじゃねぇぜ?”と付け足した。





「俺も多分、他の部員とかに“生意気”だとか、
まぁ…よく思われてねぇだろうから
そういう境遇っつーか、気持ちは分かるけど。


そんなに深刻に考えなくていいだろ。



新入生が先輩のこと怖いって思うのは当たり前だろ?



ま、俺とかお前とかは例外だけどな。」





こら、勝手に一緒にするな。
その通りだけど。
あと、その語尾にハートが付きそうな感じはどうにかならないのか。






「そうだよねー…逆に、強豪って呼ばれる部活の先輩が怖くないはずないし。


美岬にそうやって話してみるよ。ありがと、御幸。」





「…、おー。


…つーか、お前ら、3年生引退してねぇのに
もう新体制の準備してんのかよ。」



ありがとう、の言葉に慣れてないのか
御幸は照れ臭そうに首を擦った。



そして、その照れを誤魔化すように話題を変えた。



周りには“よく分からない”とか、“腹黒い”だとか言われてるけど、
このイケ捕くん、意外と野球以外はポンコツで分かりやすい。




「それがうちの伝統だからね。

…ふふっ」



格好つけてるのかは分からないけど
私には、普段の御幸は
必死で“ミユキ カズヤ”という仮面を付けている不器用な人間に見える。



でも、その仮面は私の前だと、いとも簡単に外される。


自意識過剰なのかもしれない。

だけど、私は何だか、この不器用な人の“特別”になれている気がしてちょっと嬉しかったりした。






「え、何?いま何で笑ったの?」


「なんでもないよ、…ふふふっ」



「えー、んな事言われたら気になるだろ」





不器用なイケ捕くんは、そう言って不満げに
顔をしかめた。

その15 。→←その13 。



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ちょこれえと - 面白いです!続き待ってます (2019年10月7日 20時) (レス) id: cdd2774812 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白かったです!!更新待ってます (2017年12月26日 19時) (レス) id: 5b3b8bcb86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葵助 | 作成日時:2017年11月4日 12時

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