お社 ページ1
昔から、この村には稲荷様がいる。
美しい毛並みに、黄金色に輝く瞳。
スラリとした手足に首元に光る翡翠の首飾り。
村の人々は悩みや相談事がある度に
稲荷様の元へ行った。油揚げと酒を供えれば
大抵の事は解決策を与えてくれる｡
しかし上手い話ばかりではない､この村では
五十年に一度､不幸な事が起こる。
原因はわからないが、一つだけ言えるのは
稲荷様が怒っているという事。
だから、人々は不幸な事が起こると､それ以上
稲荷様の機嫌を損ねないように､
油揚げと酒だけでは無い何かを供える事にした。
そして出来たのが、
五十年に一度､村で一番美しい少女を
稲荷様に捧げるという決まりだったのだ。
なんていう長ったらしい話を聞かされること
はや数十分｡
慣れない正座に足が痺れるし、
候補者を募ると言っても、
こんな話を聞かされてなお、
自ら捧げ物になりたいと思う人なんている訳が無いのだ。
しかし、このままでは村が危ないという事で
強制的に私を含めた少女達、約五人程が集められた。
「という事でだな、この村で一番美しい者を決める。」
そんな村長の言葉に私は思わず欠伸をもらした。
ザワザワとする社の中で、
一際目立つ存在が一人
水無月 美麗さん。
サラサラとした黒髪に淡い水色の瞳。
制服は真面目に着こなしているし、
品が良く､口調も穏やかな美人だ。
あの子が選ばれるのかな、と考えながら
ぼーっとしていた時だった。
「……みやちゃん！」
隣に座っていた友人の声が突然はっきりと
聞こえ､驚きで咄嗟に背筋を伸ばした。
「えーっと、どしたの？」
「どしたの？じゃないよ､その、村長さんが呼んでる…」
苦笑いしながら彼女が視線を向けた先には、
真っ赤な顔をした村長が立っていた。
「宮！！またお前は話を聞いとらんかったな！？」
「えーっと、いや、そのですね…えへへ」
頭を掻き､笑いながら立ち上がる。
焦りを感じたが、まぁ怒られたとしても
村長の事だ､どうせまた社の外で一晩立たされるくらいのものだろう｡
なんて軽い気持ちでいた。
しかし、村長は急に顔を歪めて俯いたかと思うと絞り出した様な声でぽつりぽつりと話し始めた。
「…明日、宮Aの…人身御供を行う。」
ヒトミ、ゴクウ？
聞き慣れない単語に首を傾げながら周りを見回すと村長以外の村の人々が私に向かって深々と頭を下げていた。
いや、何が起きてるのか誰か説明プリーズ
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来夏_raika(プロフ) - 心愛さん» コメントありがとうございます！更新頻度はかなりゆっくりめですが楽しんで頂ければ幸いです〜！これからもこの作品をどうぞ宜しくお願い致します；； (2018年12月5日 21時) (
レス) id: 4db2d60ea2 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - 更新楽しみに待ってます！ (2018年12月4日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：raika | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/seyu/
作成日時：2018年8月26日 23時
