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吃驚した。
自分の世界に入り込んでいて不意に話しかけられたから吃驚したのもあるけど…。
何よりも吃驚したのは…
さっきまであきとの話題に出ていた折原君がこちらを見ていたからだ。
そもそも、いつ席に着いたんだろ…?なんて思ったけれど、それよりもその爽やかな顔にちょっと唖然としてしまった。
あきが言っていた意味がようやくわかった。
"女の子達、超騒いでんじゃんっ"
うん。
確かに騒ぐ訳だ。
ちなみに、騒いでる所なんて見た事ないけれど…。
「何か、顔色悪いけどそんなに点数悪かったん?」
折原君はその爽やかな顔で私の顔を覗き込み、心配するというよりかは不思議な顔でこちらを見てくる。
「あ…や…その別に…」
確かに、点数は悪かったんだけど。
理由が理由だった為に、口篭ってしまった。
「14点…見えてるんやけど」
折原君がポツリと呟いた。
「う、うわぁあ!!!」
私は、丸見えだったテスト用紙を体を机に突っ伏すようにして隠した。
コイツ心配してんじゃなくて、嘲笑ってるだけじゃんっ!!!
大体、何で勝手に見てんのよぉっ!
…なんて言う私の考えを折原君は察したのか…
「机に広げとったら誰にだって目に入るわ」
…と言いながら、口角を少し上げて小さく笑った。
決して意地悪な笑みじゃない。
だけど、その笑い方はひどく先生の笑い方に似ていた。
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