浜田中学校に潜入中 (ページ7)

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歩side

死ぬほど眠い目に、全神経を張り巡らせて、必死で開けさせる。

それでも閉じようとするので、セロテープで上瞼と下瞼を補強しておいた。目がショボショボする。

ホシは、酒井創一という名前で、まあ多分偽名だけど、理科教師らしい。

この学校の理科室の整備や、薬品の注文などは酒井が行なってるらしい。違法な薬品なども購入している可能性もあるので、それも視野に入れながらコイツを追っている。

怪しいところはなさそう。というか、そんなもの今期待してないけど。

今回は、コイツの性格とやらを見極める事が出来たらいいなーくらいの気持ちなので、良い生徒を心がける。良い生徒は瞼にセロテープなんて貼らないだろうが。

普通にイケメソで優しく穏やかな感じだな。生徒受けが良さそう。

教え方は普通。分かりやすくはない。面白さの方が重視されてるかな。所々雑談やウンチクが混じっていて、皆笑っている。私は真顔。

こんな奴が犯罪組織に属しているんだなー。まだ下っ端だろうけど、犯罪組織に潜入するときはコイツを使うのも一つの手だな。

云々考えていると、あっという間に授業が終わった。そして私は、質問をしに行く。

「あの、ここがよく分からなかったんですけど。」

「その前に瞼のセロテープを取ったらどうだい？」

あ、忘れてた。ビリビリ取ると、周りの奴らに笑われた。まあ、いいけど。

取り終わった途端に上瞼がグーンと下がる。

「で、ここなんですけど、」

「ああ、ここは…」

「へえ、分かりやすい！」

分かりやすいも何も、わし、社会人で公務員ですけどな。よく公務員に見えないって言われるが。

「ところで先生って、手、綺麗ですね。」

急な話題転換に驚いた隙を見て、両手を取り上げる。その両方の腕と親指の爪の中に、注射の穴がないことを確かめ、下ろす。

「そうかな。」

「はい！さっきの授業の手さばきも素敵でした。」

なんじゃそりゃ。手さばきが綺麗って何それ。

「えーっと、褒めてもらってるのかな？ありがとう？僕はもう次の授業があるから行くね。」

注射は打ってない可能性が高くなったことを確かめられたので、寝よう。