とお ページ11
snr side
『あ、センラ朝ごはん食べる?』
名前を呼ばれる たったそれだけで心が弾んで
「食べるっ!」
顔が綻ぶのを自覚する
あぁ、思ったより浮かれているらしい
『センラー、キョンシーって何食べるの?』
「んっと、白米にお線香とか?でもセンラはキョンシーの中でも特殊なタイプやしなんでも食べますよ」
嘘じゃない
キョンシーは白米や線香を食べる。そう書物に記載されているはず
でもそんなの食べたことない
君に嫌われたくない
たったそれだけでとっさに誤魔化した
でも、何かを小さく呟いて目を逸らすA見て不安になる
「A、どうしたん?」
『あ、ごめんごめん、ありがとすぐ用意するね』
そう言って微笑むAを見て、また心が満たされた感覚がした
・
・
・
『いただきます』
「いただきまぁす!」
Aの作ったご飯は、あったかくて優しい味がした
でもサラダとか言うのに入っとったのはどうしても食べきれなかった
てれびというものの使い方を教えてもらって、ボタンでしばらく遊んでいると
『センラー、お腹空いたら冷蔵庫の中にあるやつ食べていいからねー』
そう聞こえてきて声のほうへ走る
「もう、いっちゃうん?」
いってほしくない
ずっとそばにいて欲しい
帰ってこなかったらどうしよう
いっそ堕として仕舞えば
そんな考えが頭を埋め尽くす
『な、なるべく早く帰ってくるから!ねっ!いってきます!!』
こんな汚い自分のことなんて知ってほしくなくて
「ふふ、いい子で待ってるなぁ」
そうやって送り出した
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作者名:らると | 作成日時:2023年10月16日 1時