続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

迫るタイムリミット ページ32

◆ 太輔・side ◆

心を鬼にして言った。


そうでも言わないと 本当の心を見せてくれないから。


俺のことが心配で行かないと言い続けてる。


「… いてほしいよ、でも… それじゃぁ… ダメなんだよ」
俺は…

「強くなりたいんだ」
自分の手を見つめた。


お前を守れる男になりたい。

いつでもお前の背中を押せる男になりたい。


「強くなってほしい… ４年前のように」
目を瞑るとあの卒業式の光景が蘇る。


飛行機の形をした紙吹雪…

俺に夢を追いかけろと教えてくれた君。


「ちゃんと考えてくれ」
頼む…

「タイムリミットまで… あと１２時間」
祈るような気持ちで過ごす…


夜７時…


『２人で』と言っていた 夕食は一人で食べた。

Aの分は、看護師さんに運んでもらった。


「じゃあ… 今からお薬入れますね」
夜の点滴。

「このまま寝ちゃっていいですからね」
寝ていい…


でも…


Aが… 心配だな…


ポタッ… ポタッ… とゆっくり落ちる液体。


「… ねむ… ふぁぁ〜… 」
目を瞑った。



きゅ。


ん？


人さし指に感じる圧…


「痛くありませんように… 」
え…

「早く治りますように… 」
あ…


Aだ…


眠くて意識が飛びそうだけど…


「私ね… 行ってみたい… でも… 」

「怖いの… わかってても… 」


怖い…


「失うんじゃないかって… 大切だから… っく… 」
A…


ぎゅ…


「太… 」

「いいん… だよ… 行っ… て… 大丈夫だよ」


眠くて目を開けることができないけど、手を握ることはできる。


「たくさん… たくさん… 学んで… 」
ダメだ…


意識が…


落ちる…


「… 太… 」


A…



俺は そのまま眠りについた。


目が覚めた時、Aの姿はなかった。


でも、手には温もりが残っているような気がした。


「行きたい… か…、やっぱりな… 」
我慢させてしまったな…

「ん？でも… 夢かな？」
夢うつつだったから…


自分の願望で見た夢だったらどうしよう…

チラリと病室の時計を見た。


「久利生さんが来るまであと６時間… 」

「言わせられるか… あの言葉を… 」


A…


「強くなれ… 」


俺のひまわり。



そして７時過ぎ… 朝食のトレイを持ちながら驚きの格好で現れた。


マスクとサングラス。


泣きすぎて顔が腫れたらしい。


どんな姿でも愛おしく感じるんだと思った。


さすが俺のひまわり。

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