続・ようこそ！！青蘭高校へ！！ 【 ２２ 】

抱きしめてくれない腕 ページ31

何でそんなこと言うの…


私は側にいたいだけなのに…


「俺の為だって… わかるよ、わかるけど… 」
わかってるんじゃない！

「… っく、いいの！行か… っく、な… いの！！」
何で『いいよ』って 言ってくれないの…


でも、太輔は繰り返し同じことを言った。


『フランスに行け』


「行かない… 」
その胸に訴え続けた。


側にいたいの…

いさせてよ…


「お前は… 」
… ？


？


「俺を弱くさせたいんだ… 」
え…

「情けない 俺がいいんだ」
ちが…


「違う！！」

「ただ 私は、側にいたいだけだよ！」


あなたの側に！


「… ４年前とまるっきり同じ」
！！

「記憶喪失になる前と… 」
！！



　…



「あの時も、今回も… きっかけは同じ」

「不安がきっかけ… 先回は 浮気だっけ？」



あ…



「お前は… 俺がまた死の選択をするかもしれないと思ってるんだろ… 」

「『太輔は、心が弱いからって… 私がいないとダメになる』って… 」


！！


「何？… それって… 同情？… 」

「心が弱い… だから可哀相って… 」


そんな…


「ちが… 」

「同情なんて… されたくない」



スッ…



「太… 」

「… 悪い… 自分の病室戻って… もう… 話したくない」


太輔の手が離れていく…


「… やだ… 違うの… 」

「心が弱いのは… お前だよ、… 俺を信じてない」


信じてる…


でも…


「ほら、出てって… 」
ぐいぐい背中を押された。


スライドドアを開けた太輔。


「やだ！！」



ドンッ！！



スゥ〜… パタン。


「や… だぁ〜… 」
その胸にしがみついた。


でも、太輔は抱きしめてくれない…

ダラリとしたままの腕を強く握った。


「俺は… お前を愛してる」
え…

「でも、今のお前は 俺が愛してる女じゃない」
私… じゃない… ？



　…



「俺が愛してる女は、いつも前向きで ひまわりのような奴」

「太陽の俺に笑ってくれる… ひまわり」


太陽とひまわり…


「側にいたいって… 思ってくれて嬉しかったよ」

「でも、やっぱり… 嬉しくない、同情は」



…



「素直になってくれ… 心を隠さないでくれ」

「俺は、いつものお前を愛してるんだから」



スッ…



とん…



「太… 」



パタン。






　…





「… っ！」



背中を優しく押され、病室を追い出されてしまった。


閉ざされたドア… 開ける勇気はもうない。


私は、声を殺しながら自室へと戻った。

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