二話 ページ4
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次に見えたのは倒れたムカデとこちらを心配そうに見る女の姿。
「大丈夫ですか?」
『……あ、ああ。』
今、目の前で見た女の怪力っぷりに少し脳が混乱している中、とりあえず返事をする。
「無闇に突っ込むのは危ないのに…この子の身内の方かなにかですか?」
そう言って指したのは、さっき転んでいた子供。
すりむいた膝は女の医療忍術によって治されていた。
『いや、違う。おれの身内じゃない。おれの身内は…おれの妹は…カヤだけだ。』
女は一瞬、キョトンとしたがすぐに柔らかく微笑む。
「……?妹さんをお探しなんですね。」
『は?…ちが、』
「でも無理はなさらずに…格好からして上忍のようですしご自身の命を守る術を持っているはず。自分の命も大切にして下さいね。」
そう言って笑みを浮かべたままこちらを見た女は目を見開く。
その目線にはおれの額宛。
「額宛の傷…、もしかして抜けに…」
「サクラ!」
女の声を遮るように聞こえた声。
この声は……、
『…イルカか…。』
「…クサギさん!?なんでここに!?」
目を見開くイルカの周りには無数の忍の姿。
このままだと戦闘になりかねない。
おれとイルカをキョトンとした顔で見る女に向かって急いで声をかける。
『…サクラ、といったか?さっきは助かった、ありがとう。』
そう早口に言うと、サクラの話も聞かずに印を組んだ。
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作者名:E | 作成日時:2019年5月6日 13時