クライマックス ページ43
【A視点】
強い。強すぎる。アステもラルも、こんなに早く倒されるなんて……。
二人が未熟だった訳じゃない。むしろこれ以上ないほどに頑張ってくれた。アランのリザードンは、それより上回っていたということ。
まるでお母さんと戦っているときのような気分。悔しくて、悔しくて、たまらない。だけど、だからこそ燃える!!
ラルを戻したボールをぎゅっと握り、最後のボールに持ち替える。
――アラン、決着をつけよう
フィールドの向かい側の彼は、快くうなずいた。
「これが、最後。この最高の時間の、クライマックス。悔いのないように、最後の一瞬まで全力で戦う!!」
ふっと目を閉じる。今までの旅の思い出が走馬灯のように脳裏に現れる。
これまでの経験、全部解き放とう。
「託したよ! ツドキ!!」
「キィィィィィッス!!」
ツドキの鳴き声が響き渡り、歓声を生む。
「この瞬間を待っていた!」
アランが自分のメガリングに手を添える。
「我が心に応えよ、キーストーン!
進化を超えろ! メガシンカ!!」
膨大なエネルギーが渦巻き、すべてがリザードンに収束していく。
「ガウゥゥゥゥゥ!!!」
メガリザードンX。私たちの最大の壁。越えなければいけない相手。
「そっちがそのつもりなら、私たちも!
目覚めよ、キズナの力!
スペシャルフォース・マインドコンバイン!!」
ツドキと心を一つにする。絆も、波動も、私のすべてをツドキに委ねる。
ツドキにキズナ現象が生じて、観客をどよめかせる。
――ありがとうA。お前と真っ正面からぶつかり合えて、今、俺……本当にうれしく思っている。すごく、楽しい……!!
アランの想いにちょっと泣きそうになってしまったが、今はまだバトル中。バトルフィールドに立っている間は、泣いちゃいけない。
――私も……すごく、楽しい!!
いつの日か何気なく湧き出たこの感情が、ここまで深く心に刺さるとは思わなかった。
「もっと楽しもう! もっと熱く、戦おう!!」
「ああ!!」
最後の戦いの火蓋が切られた。
「リザードン、かえんほうしゃ!」
「ツドキ!」
私とツドキは心を通わせて、ベストなタイミングでかえんほうしゃを避けた。
「はどうだん!!」
そして波動の力を弾に込め、発射する。
「ドラゴンクローで切り裂け!」
さすがはリザードン。ただ単に技を出すだけじゃ、ダメージは与えられない。
「かみなりパンチ!」
リザードンがツドキの元に飛んできて、攻撃準備を始める。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2019年7月31日 20時