勝利の女神 ページ37
しかし、俺もバンギラスもやられっぱなしは性に合わない。バンギラスは首を振り、唾を吐き出して口内の違和感を振り払った。
「いくぞバンギラス! あくのはどう!」
「ディッフェ、いわなだれ!」
ディッフェはいわなだれであくのはどうを打ち消そうとする。しかしバンギラスのあくのはどうはAたちの想像を超える威力だった。
あくのはどうがいわなだれを押し出し、ディッフェに向かっていく。
「ディッフェ、からにこもる!」
「ストーンエッジ!」
ヒビが入った殻にこもったディッフェをストーンエッジで持ち上げて、あくのはどうといわなだれにぶつけに行く。さっきのAの戦略を利用した。
「ディッフェ!」
さすがの耐久力もここで絶えたようで、ディッフェは戦闘不能になった。
「……ありがとうディッフェ。すごく頑張ってくれたね」
Aはディッフェを戻し、目を閉じる。次の手を考えているのだろう。
「バンギラス、よくやったな。次もこの調子でいくぞ」
バンギラスは力強く吠えた。よし。
「私の戦略を利用した勝利、お見事です。でも私たちには勝利の女神がついているんですから!」
Aは自信満々の声で宣言する。
「頼むよアステ!」
勝利の女神。なるほどな。
「いくよアステ! かえんほうしゃ!」
「バンギラス、ストーンエッジ!」
バンギラスの目の前にストーンエッジを繰り出し、防火壁を作る。
「でんこうせっかで飛び越えて!」
「あくのはどう!」
防火壁を飛び越えようとしたアステにあくのはどうを向けたが、軽やかな動きでかわされた。
「Vジェネレート!」
こうかはいまひとつだが、しっかりと決められ、バンギラスの巨体が揺れ動く。
「バンギラス、あくのはどう!」
接近してきたアステにあくのはどうを打ち込もうとする。さすがにでんこうせっかでも避けられないだろう。
「アステ、自分にねんりき!」
しかしアステは自分自身にねんりきをかけ、念動力でその場から素早く離脱した。外れたあくのはどうがバンギラスに当たる。しまったな。
「アステ、バンギラスの後ろに回り込んでかえんほうしゃ!」
アステは念動力でバンギラスの背後に向かい、素早くかえんほうしゃを繰り出した。バンギラスが前に倒れる。
「決めるよアステ! とどめにVジェネレート!!」
「バンギラス、ストーンエッジ!!」
Vジェネレートとストーンエッジが同時に繰り出され、土煙が派手に舞う。その中でアステの影だけが動いていた。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2019年7月31日 20時