踏襲 ページ36
バンギラスはいわなだれを受けてもディッフェを離さなかった。それほどのダメージも受けてないのだろう。
さすがのディッフェも、これだけバンギラスのかみくだくを受けていると防御が落ちてくる。甲羅にヒビが入り始めた。
「いいぞバンギラス!」
「ディッフェ……!」
Aは少し険しい顔をしたあと、微かに口元に笑みを浮かべた。何か思い付いたな、これは。
「ディッフェ、勢いよく足を出して!」
「ツボ!」
Aの指示通り、ディッフェが足を出す。何の効果があるかわからないが、こちらの優勢は変わらない。
「バンギラス、あくのはどう!」
ディッフェを咥えたままあくのはどうを繰り出せば、回避も抵抗もできない。そう思った矢先のことだった。
「バンギ……っ!?」
突然バンギラスが顔を歪ませ、ディッフェを吐き出した。ディッフェは綺麗に回転して着地する。
「一体何が……」
「思い出せませんか?」
Aがにやりと嫌な笑みを浮かべて俺を見ていた。
思い出せませんかと言われても、前回同じようなことが起こった記憶はない。バンギラスが突然苦しむなんて……。
「なら、これならどうです? ディッフェ、いわなだれ!」
バンギラスが苦しんでいる今、安易に接近技を出せる余裕はない。
「バンギラス、ストーンエッジ!」
落ちてくる岩を巻き上げた岩で相殺する。
「そうそう。それですよ! ディッフェ、からにこもる!!」
Aのテンションが上がる。
ディッフェがからにこもると、ディッフェにストーンエッジが当たった。しかし、ディッフェにダメージは入らず、岩がディッフェを持ち上げただけになった。
「いわなだれ!!」
そしてその岩の上から更にいわなだれを繰り出す。バンギラスは避けようとしたが、どこか動きが鈍く、避けきれなかった。
この感じ……そうか!
「まったく、お前は今までの経験を余すところなく力にしているんだな」
「ええ!」
Aがひらめいてからの戦い方は、ほぼAのエイセツジム戦を踏襲したものだった。
ウルップさんのクレベースの氷をディッフェの足先から出る体液で溶かしたこと、ストーンエッジをからにこもるで受け流して利用したこと、高いところからいわなだれを出したこと。これらを踏まえて俺のバンギラスと戦っていたんだ。
つまり、突然バンギラスが苦しんだのは、ディッフェの体液のせい。ストーンエッジを出させてディッフェを持ち上げ、いわなだれを決める。敵ながらあっぱれだ。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2019年7月31日 20時