【最強メガシンカ】世界でいちばん頑張っている君に～～18th Singularity～～【ポケモンXY特別編】 (ページ30)

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胸の高鳴りページ30

【アラン視点】

朝。目覚めは素晴らしかった。待ちに待った決勝戦だからか、昨日の夜、Aの感謝の気持ちが聞こえてきて安心して眠れたからか……どっちもか。

朝食に向かうと、すでにAは席に着いていた。俺を待ち構えているような視線。

「おはようございます。よく眠れましたか？」

少し遠慮しているような言い回し。

「おはよう。ああ、ぐっすりとな」

「私もです。全力で戦えそうですね」

そこで初めて、Aは笑顔を見せた。こちらの緊張もいい具合にほどけていく。

朝食の間、俺たちは必要最低限の会話しかしなかった。伝えるべきことは、昨日の夜に伝えきった。だから、互いに今日の戦いについて言及しようとしない。逆にそれがモチベーションを上げていく。

「「ごちそうさまでした」」

そして俺たちは、何も言わずとも戦いの地に共に向かう。

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「お前はあっちで、俺はこっちか」

選手控え室に向かう通路で、俺たちは一度別れる。次に会うのは、もうバトルフィールドの上だ。

「こうしてみると、緊張、しますね」

Aは目を逸らして呟いた。

「決勝戦、だからな。多少は緊張するだろう」

俺だってこいつと同じフィールドに立つのは、まだ少し怖い。

「だけど俺は、緊張よりも期待の方が強くなっている。ついにお前と戦えるんだと思ったら、決勝戦だろうがなんだろうが、最高に胸が高鳴るんだ」

Aの視線とぶつかった。緊張を残しつつ、すっきりとした表情をしている。

「……私もです。この日をずっと、待っていた。あなたと……最高のバトルができるのを！」

俺はうなずいて応えた。Aは純粋な表情で、俺にしばしの別れを告げた。背を向けて歩いていく。

「また、あとでな」

控え室に着いた俺は、即座に6つのモンスターボールを取り出した。

「いよいよだ」

Aはきっと俺たちの知らないレベルの戦いを見せてくれる。それがどんなに挑むのが厳しくとも、俺たちは逃げない。真っ正面から受け止めてみせる。

「Aとの戦いに最適な立ち回りなんてない。どれだけいい攻撃、いい防御をしても、あいつはそれをチャンスに変える。俺たちにできることは、油断しないこと、そして……」

上を向いて、高らかに宣言する。

「全力で楽しむことだ！！」

それぞれのモンスターボールが揺れ動いた。

俺は立ち上がり、控え室を出る準備をする。

「さあ、行こうか」

心臓の鼓動が鳴り響く。