激闘の勝者 ページ18
巨大みずしゅりけんと、ブラストバーンの激突で、会場中が煙に包まれる。この煙が晴れたとき、立っているのはゲッコウガか、リザードンか。
「…………!」
私は固唾を飲んでその瞬間を待つ。きっと、アランたちもそうしている。
煙が晴れた。ゲッコウガも、リザードンも立っている。だが……。
「あ……っ」
ふいに、ゲッコウガの姿が元に戻り、ゲッコウガはふらっと地に倒れ込む。サトシも腰を落として肩で息をしている。
「カロスリーグ準決勝、激闘の勝者は、アラン選手だ!!」
実況が熱を込めて叫んだとき、アランとリザードンは凛とした立ち姿を見せていた。リザードンが一つ雄叫びを上げ、メガシンカを解く。いい笑顔だ。
「つえぇ……」
サトシがそう溢したのを、たとえこの歓声の中でも、私は聞き逃さなかった。
そのあとサトシはゲッコウガに肩を貸し、ゲッコウガを労った。こちらも清々しくていい表情だ。
「サトシ、ありがとう」
「こちらこそ、楽しいバトルをありがとうございました」
「うん」
アランとサトシは激闘を交わしたフィールドで、熱い握手を交わす。互いの全力を互いが称えている。
「さあ、これでいよいよ決勝に進む二人が決まりました!
みなさん注目のA選手、アラン選手の戦いは明後日です!!」
アランとサトシが退場した後、決勝のアナウンスが聞こえた。こうやって聞くと、ちょっと緊張するな。
「アランとの頂上決戦か……」
居ても立ってもいられなくって、アランがいるだろう選手控え室まで、私は全力で走っていった。
「アラン!!」
「……A!?」
控え室の扉をノックもせずにこじ開けた私を見て、アランは驚いた顔をした。
「決勝進出、おめでとうございます! サトシに勝つなんて、さすがです!」
「ありがとう。でも、ここで止まっちゃいられない。俺が望むのは、お前との戦いだ。お前に勝って、自分が最強だと証明したい」
またアランが暴走しかけている。決勝に進んだ喜びとプレッシャーが『最強』に固執させるのはわかるけど、このままだと私と出会う前のアランと同じだ。
「ねえ、アラン」
私はアランの座っている隣に腰掛けて、優しくアランの手を握った。
「対戦相手に色仕掛けなんて、お前らしくないぞ」
「そういうことじゃなくて!」
私はすぐに握っていた手を離し、決して色仕掛けではないことをアピールした。
「わかった。それで、どうした?」
今度はアランの方から手を差し出してくれた。
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2019年7月31日 20時