翼を失い、化け物と呼ばれた天使

第７話：挨拶 ページ9

Aは次の日の朝、悪夢にうなされて目が覚めた。
A：また、あの夢…。
その夢とは、Aが暗闇の中にいて、後ろから何人もの人達の自分を蔑む声と嘲笑いが聞こえてくるというもの。
こんな状態がほぼ毎日続く。
≪化け物≫ ≪汚れた奴≫
≪気持ち悪い≫ ≪近寄らないで！≫
≪生まれてこなければ良かったのに≫
Aの頭の中を無限にループする言葉の数々。
A：学校、行かなきゃ。
Aはふらふらしながらも、朝食を食べ、学校に行く準備をした。
A：行って参ります…。
Aが家を出る時ですら、誰も見送りには来ない。
奥からは皆の笑い合う声が聞こえるというのに。
A：(此処に私の居場所は無い…。)
沈んだ気持ちのままAは学校に向かう。
〜二年一組〜
ｶﾞﾗｯ
女子：あ、藤堂さん、おはよう！
A：…。
Aは政宗の言葉を思い出した。
政宗：≪クラスの奴らにも俺みたいに接してみろよ？≫
A：お、おはよう、ございます。
男子：おはよう、藤堂！
A：おはよう、ございます。
Aは席に着くまでに、何度も挨拶を返した。
政宗：Good morning！
男子：政宗、藤堂が挨拶を返してくれたぞ！
政宗：Realy？
女子：そんなに騒がないの！
政宗は自分の席に行き、Aに挨拶をした。
政宗：Good morning、藤堂。
A：おはよう、ございます。ま、政宗君。
男子：あぁ！政宗だけずるいぞ！
女子：私達の事も名前で呼んで欲しいな。
A：えぇ！？
この騒ぎは先生が来るまで続いた。
授業中、Aは政宗に話し掛けた。
A：あの、政宗君。
政宗：Ah？
A：ありがとうございます。
政宗：あいつら、根は良い奴らなんだ。
A：今日改めて分かりました。
政宗：そうか、良かったな！
A：はい！
Aは政宗のその言葉に満面の笑顔で答えた。
政宗：！！///
Aの初めて見る満面の笑顔に、政宗は慌てて視線をそらした。
A：政宗君？
政宗：な、何でもねぇ///
A：でも、顔が…。
政宗：何でもねぇって！///
A：そうですか。
政宗は赤い顔を見せようとせず、午前中の授業は終了した。

To be continued.

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