翼を失い、化け物と呼ばれた天使

第１０話：亀裂 ページ12

良樹の暴力からAを守った政宗
兄：この、離せ！
良樹は政宗の手を外そうとするが、びくともしない。
姉：何事ですか。騒々しい。
兄：星羅姉さん、この男がいきなり…！
星羅は政宗を見て言った。
姉：手を離しなさい。
政宗：あんたがAの姉貴か。
姉：私はそんな汚れた女を妹だと思った事は、今まで一度たりとも無いわ。
政宗：Ha、この家の連中、頭おかしいんじゃねぇのか？
姉：貴方には関係ないでしょう。早く手を離しなさい。
政宗：…。
A：私は大丈夫だから、手を離して…。
Aはふらふらと立ち上がり政宗に言った。
政宗：ﾁｯ、Aがそう言うなら。
政宗は渋々手を離し、Aに近寄る。
政宗：大丈夫か？
A：はい。
兄：ﾌﾝｯ、化け物ごときが…！
政宗：Ah、何だと！？
良樹に掴み掛かろうとする政宗をAが止める。
A：落ち着いて…！大丈夫だから。
政宗：A…。
兄：お前、そいつの何なんだよ！？
政宗：俺はAのクラスメートだ。
兄：たかがクラスメートが調子に乗るなよ！
姉：止めなさい、見苦しい。
兄：星羅姉さん、しかし…！
姉：その女を庇うのなら、この男もろくな男ではないでしょうし、学校の者達も正気ではないわ。
この言葉にAは飛び出した。
ﾊﾟﾝｯ！
A：ﾊｧ、ﾊｧ…。
政宗：A！？
Aの行動に驚いた星羅達はAを睨み付けた。
姉：あなた、この私を…！
兄：星羅姉さんになんて事を！
A：私をいくら蔑んでも構いません。ですが、政宗君や私の大切な人達を侮辱する事は、いくらお姉様でも許しません。
？：そこまでだ。
姉：お父様…。
兄：お母様…。
母：とうとう手を出しましたね。
父：今までお前を此処に住まわせた恩を仇で返すとは。
A：私を別館に追いやったのはそちら側です。
母：出て行きなさい。もう貴方の居場所は此処には無いわ。
A：言われなくてもそうさせてもらいます。もう私は此処にはいたくない。
父：何をしている。さっさと荷物を纏め、出て行け。
Aは何も言わず、別館に行き、荷物を纏めて家を出て行った。

A：政宗君、ごめんなさい。巻き込んでしまって…。
政宗：あぁ、別に気にしてねぇよ。
A：勢いに任せて出て来てしまいましたが、住居が問題です…。
政宗：なら、俺の家に来るか？

To be continued.

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