「ＢＲＯＴＨＥＲＳ ＣＯＮＦＬＩＣＴ」 行ってきます・・・そして、さよなら２。

不安。（絵） ページ21

今日は、みんな夜が早い。
椿さん、梓さんも読み合わせをやると言っていた。

あの女がいないから、今日はゆっくりみんなと話すことが出来ると思ったんだけど・・・。
社会人たちは仕事があるのだから、仕方がない。


１人ベッドに寝転ぶ。
ふと、昔の事を思い出した。

いつもこんな風に１人でベッドに寝転んでいたな・・・って。
今は同じ屋根の下に何人も家族・・・、がいてくれるけど。
ちょっと前、そう半年前までは誰もいなかった。
１人ぼっちだったんだよね。

思い出したら、何故か涙があふれてきた。
どうしてだろう、今はとても幸せなはずなのに。
たくさんの家族と一緒に住んでる筈なのに、なぜだろう。
不安・・・、その言葉が今一番当てはまる。
最初は家族が出来るって言うだけで嬉しかったのに。
何でこんなふうになってしまったのか。



あの女・・・、ううん、あの子に悪い事をしてるっていう、罪悪感は私にもある。
でも・・・・。



私だって、欲しかった。
ずっとずっと憧れてた。
のどから手が出るくらい。
温かい家族。
やっと手に入れられると思ったら、それはもうすでに誰かの物だった。
素敵な兄弟に囲まれて、苦労など知らずに生きている、そう感じた。
どうして、私が持っていないものをそうやすやすと手に入れられたのか。
そう思ったら半分なんて嫌だ、だってずっと欲しかったんだもの。
「おはよう」って言ったら、「おはよう」って返事が返ってくる。
「行ってきます」・「行ってらっしゃい」、「ただいま」・「おかえり」。
他の人からしたら、とても些細な事なのかもしれない。
でも、私には今までそんな些細なことも叶えられなかった。
だから、全部奪い取るしかなかった・・・。
あの子を傷つけてでも。




もっと、他の場所で出会っていれば、仲良くなれたのかもしれない・・・のに。





あの子が家にいない今。
あの子から家族を、家族の愛情を、兄弟を奪い取れたのかな？
私は勝利者なのかな？
そんな不安が、胸いっぱいに広がる。



まだ、涙が止まらない。
でも、私はこのままの私で行くしか、ない。
たとえ誰かを傷つけようとも、私は家族が欲しいのだから。

私だけを愛して欲しいのだから。

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