51話 ページ3
「ここで宇都宮バックパスだ!?」
予想外のプレーに揃って目を見張ったイナズマジャパン。軌道からして豪炎寺に向かっていたであろうそのボールはムサに奪われ、呆然としている間に前線へと送られた。
「皆!マークだ!!」
円堂の飛ばした声も虚しく、ザックからボールを受け取ったスライは木暮や壁山を難なく振り切って攻め込んでくる。くるか、と円堂が腰を落とし構えの姿勢に入った。
「いかせない!!」
そこにスライディングを仕掛けたのは先程入ったばかりの立向居。スライからボールを離すことに成功すると歓声が湧き起こり、危機を脱したことでイナズマジャパン陣営もほっと胸を撫で下ろした。
「…役に立たねえ奴らだぜ」
危ないところだった、とマネージャー陣が肝を冷やす中無遠慮に悪態をついたのは不動。自分を出せばこんなことには、と続けた言葉は不満があるならベンチを去れと久遠に
「皆、上がれ!!」
「押さえろォ!!」
こぼれ球を拾った風丸がセイドを突破すると同時に鬼道とビヨンが指示を飛ばした。ディフェンス陣に囲まれる前に風丸がライン際から高く上げたボールは、緩やかに鬼道の方へ落ちていく。
「止めるぞ!!」
「おう!!」
しかしその場所もタイミングもビヨンの狙いどおり。目を細め不敵な笑みをもらしたビヨンの表情は、次の瞬間驚愕に染まった。
「っなに!?」
一体この会場にいる何人が予測できただろう。デザートライオンの誰でもなく、イナズマジャパンである虎丸がそのセンタリングをカットすることを。
「今だ!打て、虎丸!!」
「うおおっ!!」
陣形が崩れたデザートライオン。思いもしなかったチャンスに豪炎寺は思わず声を飛ばし、それに呼応するように虎丸も叫び足を振り上げた。
「…っ!!」
その瞬間、再び虎丸の脳裏をよぎる過去の記憶。チームメイトが不満げな、突き放すような、そんな目で自分を見て背を向ける。ああ待って、ごめん、俺はシュートを打たないから、
「宇都宮ここで豪炎寺にパス!!」
ボールを受け取った豪炎寺の双眸は鋭く、そこには確かに怒りの色が滲んでいた。
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bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました!これからまた読み直そうと思います!ご自身のペースで更新してくださると嬉しいです(◍•ᴗ•◍) (12月28日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - とても面白かっです!!続きが気になりすぎて夜しか眠れません。更新よろしくお願いします (12月15日 18時) (レス) id: 51c9a307dd (このIDを非表示/違反報告)
サカナ(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!思わず一気見しちゃいました笑更新楽しみにしてます! (10月29日 22時) (レス) @page29 id: ff0b9e3173 (このIDを非表示/違反報告)
テオ - とても面白かったです!続きが気になります!!また書いてくれるのを楽しみにまっています! (8月31日 9時) (レス) @page29 id: 715df6a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
チョコドーナツ(プロフ) - またまた戻って来てしまいました……!イナズマイレブン熱はいつになっても冷めないようです笑何度読んでも面白くて最高です! (8月21日 19時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:不二市 | 作成日時:2019年1月7日 3時