39話 ページ39
「お手伝いかあ」
『キャプテンらしいね』
基山から現在の円堂たちの状況を伝えられた水城と吹雪。曰く、虎丸は体の弱い母の代わりに家業の食堂を1人で切り盛りしていたそうで、仕込みや出前をするために練習を早上がりしていたらしい。それを知った円堂が先駆となり申し出たことで、5人は現在出前や接客などの手伝いに勤しんでいるとのこと。
「でもまさか、マネージャーが全員出払うとは…」
5人とは円堂、豪炎寺、そして秋、春奈、冬花のことだ。つまり、毎日ご飯を作ってくれていたマネージャーが今日は誰もいないのである。エプロンを着けたときにそれに気付いた秋が慌てて合宿所に電話をかけ、受話器を取った基山にその旨の伝言を頼んだそう。
「食材は何を使ってもいいって言ってたけど…」
『うーん、ちょっと待っててね』
「?分かった」
水城は基山に言い置くとたったかと軽い足取りで調理場に入っていき業務用冷蔵庫の中身を確認する。中の食材を一通り見ると調理場から出て、また基山のもとに戻ってきた。
『よし、献立決まったから分担しようか』
「うん?そのメニュー表いつ書いたのか教えてもらってもいい?」
「待ってまずどこから出したの?」
『豆腐ハンバーグとオニオンスープ、それとキャベツとキュウリの塩揉み作ろう』
「「聞いて」」
基山と吹雪のごもっともな疑問をスルーし、どこからともなく取り出した献立の書かれた(材料や分量、作り方も細かく記されている)ホワイトボードをテーブルに立てた水城。食堂内にいたメンバーがぞろぞろと集まってくる。
『一応料理できるよって人〜』
右手でホワイトボードを固定しながらそう尋ねて左手を軽く挙げる。意外にも別にできないことはない、という人が多かったので一品に対して大体3、4人ずつ割り振って作業を開始した。
「すまない、助かった」
『気にしないで。今日は私が司令塔になります』
「ふっ…ああ、頼んだぞ一青」
ユニフォームの上に綺麗なジャージを着て、さらにその上にエプロンを着用していた水城のもとにマントをひらめかせながら鬼道がやってくる。基山から水城たちより先に事情は聞いていたものの、周りの様子を見てどうしようか
『あっごめん鬼道君』
「なんだ?」
『後ろの紐結んでもらっていい?』
そう言って紐を差し出しながらくるりと背中を向けた水城に、鬼道は可笑しそうに小さく笑うと紐を受け取った。
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作者名:不二市 | 作成日時:2018年7月6日 15時